
「〇〇しないと損をする」
テレビCMでもアプリの動画でも、このように視聴者に対して機会損失の煽りが後を絶たない。「お得ですよ」というよりも集客効果が高いのだろうが、節約できたり得をすることはあっても「やらないと損をする」なんてことはほとんどない。何もしなければゼロのままで、マイナスになることはない。
たとえ50%オフの商品を買えるチャンスがあったとしても、その商品に購入額の価値がなければそれこそ損なのだ。高額商品は半額になったところでやはり高額だし、物の価値はそれを必要とする人によってさまざまだ。不要なものを買うことほどもったいないことはない。
みんな始めてる「ポイ活」。ほったらかしでポイントがたまる。歩くだけでポイントがたまる。そういう触れ込みのアプリやサービスも増えているが、ポイントを配るからには企業側になにかメリットがある。個人情報の提供や嗜好などのヒアリング項目に回答したり、広告動画をみたりするかわりにポイントが付与される。たかが30秒の動画を見るだけであっても、貴重な時間を失っている。
30秒間の広告視聴で1ポイント=1円だとしたら1時間で僅か120円の収入にしかならない。これは隙間時間の活用といえるのだろうか。1時間あれば資格の勉強や読書など、自身への投資に使うこともできる。自己への投資はすぐに収入に直結することは少ないけれど、5年、10年もたてば収入を倍以上にするチャンスが得られることだってある。
機会損失についてGemeni先生に聞いてみた
「今やらないと損をする」という機会損失(チャンスを逃すこと)を強調する煽りは、マーケティングや投資の世界で非常に多く見られます。これには、人間が持つ強い心理特性が利用されています。
- 損失回避の法則(プロスペクト理論): 人間は「利益を得る喜び」よりも「同等の損失を避ける痛み」を2倍近く強く感じる性質があります。
- 煽りの正体: 広告や勧誘では、「今だけ」「限定」といった言葉でこの心理を突き、冷静な判断を鈍らせようとします。
- 情報の取捨選択: 事実に基づく提案(雨漏りの放置など)は親切な場合もありますが、根拠のない損失の煽りは「悪質な脅し」に近いものです。
- 投資における罠: SNSやニュースで他人の成功を見ると「自分だけ機会損失している」と焦りを感じがちですが、自分の基準を持たずに煽りに乗ると、かえって大きな損失を招くリスクがあります。
こうした煽りに疲れた時は、一度画面を閉じて「本当に自分に必要な機会なのか」を問い直すのが効果的です。
冷静になろう
煽りでもなんでも、強い衝動が生まれたときはまず冷静になったほうがよい。怒りを感じたら心の中で10秒数えてから行動したほうが良い、という。焦りも同様の対処が効果的だ。怒りや焦りについてメモ帳や紙に書きだしてみると、そこに時間をかけることでも冷静になれる。
自分が書いた文字を冷静にながめて、そこから行動するかどうか決める。それはたかが1円分のポイントを稼ぐのに30分無駄にするよりもよほど価値がある。