
今年も会社が休みやすく、かつ子供の学校の予定が入らないお盆期間に夏の家族旅行を予定している。我が家の旅行は基本的に車ではなく、公共交通機関での移動となる。限られた時間の中で移動ルートの正確性が旅の成否を分けるため、毎回スケジュール帳や路線検索アプリとにらめっこしながら、分刻みの移動スケジュールを組むのが私の役目になっている。
そして今回は効率化を図るため、巷で話題の生成AIを「旅行プランナー」として使ってみた。
条件はこうだ。「大人2人、中高生2人。車は使わず、新幹線と在来線の公共交通機関のみで移動。日程は混雑が予想されるお盆期間中。1泊2日で、真夏の暑さを避けつつも、10代の子供たちが満足できるようアクティブに夏を過ごせる関西の穴場ルート。これに合うアクティビティ、宿泊地、移動手段を提案してほしい」
プロンプト(指示文)を入力すると、AIはものの数秒でそれらしい旅程を吐き出してくれた。しかし、提案された中身を細かく精査し、具体的な手配を進めようとした段階で、いくつもの問題に突き当たった。
まず、勧められたホテルを調べてみると、お盆期間中ということもあってか、ほとんどがすでに予約でいっぱいか、あるいは大幅に予算をオーバーしている。
さらに現地のバス会社の公式サイトを開き、PDFの時刻表と路線図をダウンロードして「裏どり」を行ってみたのだが、AIが案内してきたそのルートをなぞろうとしても、実際の運行スケジュールや路線の経由地が全く異なっており、そもそもAIが提示した移動手段では目的地に絶対にたどり着けないことが判明した。
この間違いは致命的だ。見知らぬ土地の真夏の炎天下、次のバスが3時間来ない駅前ロータリーで家族全員で途方に暮れる、という最悪の結果に直結してしまう。
結局、今回はAIの提示したルートや宿はそのままでは使い物にならず、公共交通機関の接続に関してはすべて自分で1マスずつパズルを埋めるように時刻表を裏どりし、ホテルも自分の手で一から探し直して、我が家の「夏旅計画」を完成させた。
丸投げはまだ早い。だが、すべてが無駄でもない。
将来的には、AIがすべての旅程を完璧に提案し、交通手段や宿の予約までをシームレスに完結させてくれる日が来るかもしれない。しかし、現実の現在地を見つめ直せば、今はまだそこまでは行っていない。現段階では、やはり人間の手で泥臭くチェックをしないと、ここぞという重要な局面にはとてもじゃないが使えない。その事実を、身をもって再確認する結果となった。
だが、AIの提案がすべて無駄だったかと言えば、決してそんなことはない。宿泊地やアクティビティの大枠の候補を提案してもらったことで、そこから取捨選択して計画を具体化していくプロセスにおいては、十分に役に立ったと言える。ゼロから自分で探す手間に比べれば、検討の土台としては機能していたのだ。
今回の聞き方の問題もあるのかもしれないし、現時点でももっとうまい使い方があるのかもしれない。AIを完全に諦めるのではなく、付き合い方次第で可能性はあるはずだ。未来のことは分からないが、道具としてのAIが進化していくと同時に、私たち使う側もどう指示を出し、どうチェックを割り切るか、より学習していくことが求められていくのだろう。