30代に入ったころ、体の変化を感じ始めた。20代に比べて無理が効かなくなり、終電帰りで翌日も9時に出社すると明らかに仕事のパフォーマンスが落ちる。体重も増えてきたし、原因不明の咳に悩まされて通院していたが一向によくならない。また、胃腸の調子が悪く、胃痛や吐き気で早退したこともあった。加齢だけが理由ではないと思うが、思い返すと30代前半は体調がイマイチだった。体力の曲がり角を迎えていた。そして早寝早起きやビタミン剤摂取、若干の糖質制限、筋トレなど、生活の改善に取り組み始めた。
大きく変えたのは水分摂取だ。入社後しばらくは毎朝出社前に500mlのお茶を買っていた。濃い緑茶(濃い味)をちびちびと飲んで、昼食に食堂でお茶を1杯飲むだけだった。朝から終電まで、ペットボトル1本とコップ1杯のお茶で足りていたのが、今となっては信じられない。
その後、結婚を機に節約志向が芽生え、水筒を買ってお茶を持参するようになった。お茶は家で沸かせばほとんどタダみたいなものだ。購入した水筒は800mlサイズの魔法瓶で、スリムなサイズで持ち運びしやすく、とても重宝していた。夏になれば氷を沢山いれて、キンキンに冷やしたお茶を持って行った。真夏は特に、冷えたお茶が眠気覚ましにもちょうどよかった。数年間は、この水筒を使用していたが、中のコーティングがはがれ始めてきたので買い替えを検討した。だが同じような魔法瓶は販売しておらず、容量は同じでも全体のサイズがかなり大きくなってしまう。その頃は800mlを1日で飲み切るペースになっていたので、500mlサイズなどでは足りない。かと言って小学生が持っていくようなでかい水筒は重くてかさばる。
そんな時、ナルゲンに出会った。
それまで使っていた水筒とはまったくタイプが違う。だがそもそも会社に持っていく水筒は魔法瓶である必要があるのか?という点から考え直した。確かに冷たいお茶は心地いい。だがその頃、夏場は特に体力が落ちて食欲もわかないことに気づいていた。様々な体調不良を実感し始めたのも同時期だった。これはもしかして、冷たすぎるお茶を摂取しているからではないか、と思うようになった。また、人は1日2リットルの水分を摂取したほうがいい、という記事も読んだ。それなら、ナルゲンの1リットルボトルを買って、常温のお茶を持っていった方が良いのではないか。
そこから会社にナルゲンを持っていく日々が始まった。私以外に1リットルのナルゲンボトルを会社に持ってきている人は未だに見たことはないし、当時は水筒を持参することすら珍しい方だったので、とにかく目立った。またボトル自体は軽量で丈夫なのだが、やはり1リットルのお茶は重い。だが、常温のお茶を飲み始めて明らかに体調が良くなった。他にも健康増進の取り組みを始めていたので、最終的にはどれが一番効果があったのか分からない。それでも気付けば原因不明の咳や胃痛、吐き気もなくなっていた。
シンプルが一番良い
2013年に送料込みで約2,000円で購入したナルゲンボトルは、今もまだ健在だ。細かい傷は増えてきたが、それ以外はなにも支障がないのでこれからも長く使い続けられそうだ。ナルゲンボトルにも、口径が小さいものや、オシャレな形のタイプもあるのだが、やはりシンプルで無駄な機能がないほうが壊れにくく、長持ちする。魔法瓶も保温と言うメリットはあるが、真に保温が必要かといえばそういうわけでもない。
今年の夏はひどく暑かった。夏のピークは過ぎてもまだ残暑は厳しく、夏バテで体調を崩している人もいるだろう。そんなときはしばらく、良く冷えた冷たいお茶は控えて、ただの常温のお茶を飲むようにしてはいかがだろう。キンキンに冷えたお茶で一時の快楽は得られるが、それは一瞬で過ぎ去ってしまうし、内臓には負担になっているのだ。熱中症などで急きょ体を冷やす必要がある場合を除けば、発汗で失われた水分を補うことさえできればよい。
何事もやり過ぎは良くない。シンプルに、ただの常温のお茶を飲むようにすれば、きっと思った以上に良い効果がある。