入社して満20年をむかえ、会社から5日間のリフレッシュ休暇と15万円分の旅行券をもらったので、自分へのご褒美と家族への感謝の意を込めて、今年の夏はいつもより贅沢な旅行にすることにした。昨年末のディズニーランド2日間は新幹線、ホテル、入場料、プレミアムパス代など含めると全部で30万円ほどになった。そこに旅行券の15万分と、さらに5万円ほど加算すれば、旅行の予算枠は50万円程度になる想定だ。
目的地を決める
旅行で一番重要なのが目的地なので、さっそく家族会議をする。まず飛行機に乗ることは確定だ。子供たちはまだ飛行機に乗ったことがなかったので、このタイミングで経験させておきたかった。そして候補地には「北海道」「沖縄」「ハワイ」「台湾」といった意見が出た。どこも飛行機に乗らなければたどり着くことはできない。
ここでまず国外か国内かを絞り込む。当然子供たちは海外未経験だし海外に行くのも良い経験になる。だが円安真っただ中で海外に行くのはコスパが良くないし予算枠内に収めようとするといろいろと制限する必要があって十分に楽しめないかもしれない。また旅行先で英語を使った意思疎通がストレスになるとリフレッシュ休暇にならない。
ということで行先は国内に限定し、「北海道」と「沖縄」について旅行雑誌を購入する。私は北海道には何度か行ったが沖縄は未経験だ。今更ながら、一言で沖縄県といっても「沖縄本島」「宮古島」「石垣島」など様々な選択肢があることを知る。また沖縄ではなく鹿児島県だが「屋久島」も魅力的であり、屋久杉は死ぬまでに見ておきたいスポットの一つだ。この時点で家族の意見は3対1で「沖縄方面」に絞り込まれた(息子が泣いた)。
そして旅行雑誌やホームページで情報収集をした結果、目的地は「石垣島」に決定した。海の幸やフルーツなどおいしそうなものが沢山ある。また石垣島からは西表島など様々な島にフェリーで回れるし、石垣島内もシュノーケリングや海水浴も楽しめる。下の子供の身長・年齢制限もほぼなくなり、体力もついてきたので大人と同様のアクティビティができるよう。逆に我々夫婦の体力は今後少しずつ低下していくのは間違いないし、今後いつ健康を損なうか分からないので、今回は石垣島で精一杯遊びまくることにした。
予約する
行くと決めたからには予約は早い方がいい。仕事の調整もしやすいし、早く予約すれば割引が効くこともある。人気のツアーは早く埋まる事もあるだろう。予定が分かればキャンセルもできるのだから、早めに予約を入れることにデメリットは何もない。
いくつか旅行会社のホームページを見ると、旅行期間がお盆に被れば当然のように料金が跳ね上がる。ただ前後に数日ずらせばグッと安くなるので、今回はお盆前の2泊3日でホテルを予約した。朝食付き、関空-石垣空港往復航空券付きで、一家四人35万円だ。普段支払うことのない金額なので正直ビビるが、15万円分は旅行券が使えるのだと奮い立たせて決済した。
次に重要なのが、石垣島にいって何をするかだ。基本的にレンタカーが推奨なのだろう、島内は公共交通機関が十分に整備されているとはいいがたい。しかも7月から、空港からホテルまでの直通バスが1日2本に大幅に減便されてしまった。コロナ明けの観光シーズンで稼ぎ時だと思うのだが、観光地であっても運転手の確保は難しくなっているのだろう。少子高齢化で観光業の維持すらままならない状況だと、資源のない日本が観光立国として外貨を稼ぐという政府の方針はかなり危ういな、と思った(それはまた別の話だが)。
私も嫁のペーパー&ゴールドなのでレンタカーは実質使えない。となるとその他の移動手段を使うことが前提となる。1日目は午前中が移動なので、昼からはレンタサイクルを借りて市街地を廻ることにする。また旅行雑誌を見ると、西表島にフェリーで行って、カヌーやトレッキングができるツアーが面白そうだったので、二日目にこのツアーを申し込むこんだ。昼食や貸し靴代込みで、別途フェリー代を足すとトータルで7万円弱だ。
ここまで決まるのは早かったが3日目は少し、いやかなり悩む。帰りは夜の飛行機なので、最終日といいながら終日遊ぶことが出来る。石垣島中を観光タクシーで回っても1日1万円もかからないので、石垣島内のビーチや灯台、様々な観光地を巡ったり食べ歩きするのも楽しそうだ。もしくは竹富島や黒島など、いくつかの島を巡ってのんびりする案もある。
だがもう一つ、石垣島からもうすこし足を延ばせば日本最西端の与那国島までは飛行機で30分だ。与那国島は観光地としての見どころは多くはないが、与那国馬という小ぶりでおとなしい馬と一緒に海の中を乗馬できる牧場がある。馬好きの娘のテンションが一気に上がる。
与那国島に行くとなると、朝は早々にホテルをチェックアウトし、石垣空港から与那国空港にわたり、乗馬をしてとんぼ返りする、という強行日程になる。前日のカヌー&トレッキングの疲れがどれだけ残っているかは未知数なので、体力面では大いに不安がある。また航空機代だけで往復9万円、乗馬の費用を足せばプラス16万円と、明らかに当初の予算をオーバーしてしまう。
ここは大いに悩みどころだ。このタイミングを逃せば『一家四人で与那国島で乗馬をする』という経験はもう2度と出来ない可能性がある。確かにお金は限りがあるし重要な問題ではあるが、お金が全てではない。それこそその価値はプライスレスなのだ。ここでやらずの後悔をしてしまうと、後からはもう取り返しがつかない。
ということで、次の旅行の費用を抑える(一泊旅行は見送る)ということにして、最終日は与那国島に行くことに決めた。
(石垣島旅行譚②に続く)