ChatGPTを正しく理解するために

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ChatGPTのような生成系AIが登場して半年以上経ち、各企業でさまざまなサービスへの適用が始まっている。利用が広まることで、さらにAI自体も進化し、そして我々の生活に自然に生成系AIが溶け込んでいくことになるだろう。

企業が提供するサービスであれば、AIが生成した文章、情報の責任はその企業がコントロールする責任が生じる。だが個人で利用する場合は自分で責任を負う必要があるため、気をつけなければならない。生成系AIは、まるで人間のような受け答えをして情報を提供してくれる。だがその情報の元はインターネットや、各企業が準備するデータベースであり、全く新しい情報を考え出して提供するわけではない。

自分の名前で分かる、ChatGPTのいい加減さ

ChatGPTを理解するうえで一番手っ取り早いのが、自分の名前を検索してみることだ。

〇〇さんは、日本の有名な俳優です。彼は1990年10月26日生まれで、主にテレビドラマや映画などで活躍しています。

彼の代表作には、「ごくせん」「GTO」「ごくせん THE MOVIE」「僕等がいた」「アオハライド」などがあります。これらの作品で彼の演技が高く評価され、多くのファンに支持されています。

ただし、私の情報は2021年9月までのものであり、それ以降の彼の最新の活動については把握していない可能性があります。最新情報を知りたい場合は、インターネットのニュースや公式ウェブサイトを参照することをおすすめします。

https://chat.openai.com/

どのキーワードが何の情報に結びついたのか分からないが、まったくでたらめの答えが返ってきた。また、もう一度検索を繰り返すと今度は正直に「分からない」と回答があった。

〇〇さんは、私の知識の範囲では特定の有名人や公共の人物としては認識されていません。もし特定の有名人や著名な人物ではない場合、私のデータベースに情報がないことが考えられます。

もしあなたが特定の〇〇さんについての情報を探している場合は、その背景や関連する情報を提供していただけると、より詳細な回答をお伝えできるかもしれません。

https://chat.openai.com/

生成系AIは、持っている情報をもとにそれらしい回答をすることはできるが、当然ながら元情報がなければ回答が出来ない、または関連がありそうな情報を勝手に紐づけて、それらしく回答を仕立て上げてくれる。そのため自分が知りたい事、新しい情報を求めて使用しても、必ず正しい答えを教えてくれるわけではない。「それらしい」というだけで「正しい」とは限らず、ChatGPTの答えをどう判断し利用するかは、使う側に判断力と責任が求められるのはこのためだ。

生成系AIを使用するには、まずこのいい加減さを正しく理解することが重要だ。

責任ある回答を求めてはいけない

いい加減さを認識た上で、生成系AIを活用する際にまず気をつけるのが「責任ある回答を求めない」ということだ。企業が提供しているサービスに組み込まれた場合はまだしも、個人が無償で直接利用できる類の生成系AIは、無責任な一般人の集まり、と考えたほうがいい。正しい情報もあるが、その中に根拠のない虚偽の情報も含まれている。

逆に、無責任な一般人から情報を収集したい、という場合は、とても優れたツールになりえる。

たとえば生成系AIの中で、複数人にあるテーマについて議論させることができる。性別・年齢・職業などの人物設定をしてから「〇〇について議論して」とメッセージを送れば、それらしい議論が繰り広げられる。望む方向にその議論を向かわせることも可能だ。もちろん自分もその議論に加わることもできる。

一人で思い悩む代わりに、生成系AIで一人ブレーンストーミングをするのは意味がありそうだ。全く新しい情報、新たな気づきを得ることは難しいかもしれないが、悩み・考えを整理するツールとしては役に立つ。人に相談することで、自分の考えがそれであっているかどうか後押しをしてほしい場合も有用だろう。自分の意見を客観視することもできる。その結果をうけて、最終的に判断するのは自分自身だ。

メール作成や要約は有用なのか

そのほか、ChatGPTの活用例を検索してみると「メール作成」や「要約」が紹介されていた。確かにうまく条件を設定すれば、定型文を組み合わせてそれらしいメール文面を作ることはできそうだ。また要約する対象の情報を与えることで、そこから日本語の文脈をもとに要点らしいか所を抜き出して、それらしい要約にまとめることも可能なのだろう。

だがChatGPTが書いたメール文面になんの意味があるのだろうか。ビジネスメールに時候の挨拶文言なんてなくてもいい。読む側だって忙しいのだから、回りくどい前置きなんて不要だ。そして依頼・伝達内容はChatGPTではなく、メールを書く側が持っている情報なのだ。ChatGPTを使ってそれらしい文面を書いてくれたとしても、最終的に内容を確認して手直しする必要はあるので、それなら初めから自分で書いた方が早い。そういった手直しは不要で、定型的な挨拶メールを送るためにChatGPTを使おうとするなら、その前にそのメールを送る必要性を改めて考えた方が良いだろう。

要約だって、ChatGPTが正しく要点を抜き出してくれるか分からないし、要約としてまとめる際に意味が変わってしまうこともあるだろう。それに要約をまとめることは、自分でその内容のポイントを理解する、という目的もある。AIに機械的にまとめてもらった要約にそこまで意味があるとは思えない。メール同様、それで片付くような作業なのであれば、やはりそもそもその要約自体も不要なのではないだろうか。

要は使い方だ。仕事にフィットするのなら、AIを使うことで仕事はより効率的に進めることができる。ゼロから資料や手順書等を作るよりも、たたき台やベースがあったほうがとっつきやすい。また企業内で社内の規定やマニュアルをインプット情報にすれば、大量のドキュメントを検索する手間を省いて会話ベースで事務手続きの確認もできそうだ。

人生の主体は自分自身である

最終成果物をAIに任せてはいけない。自ら考えて、決定することを放棄してはいけない。AIはあくまで補助的なツールであり、それはこれからどれだけAIが進化しても変わらない。最終的な判断をAIに任せてはいけない。学校の宿題や仕事の報告書作成を効率的に進めるためにAIが役に立つからと言って、本来の目的を忘れてはいけない。宿題や報告書は本来、提出することが目的なのではない。

AIはこれからも、様々な仕事や作業を効率化してくれる。より早く正確に判断して結果を我々に教えてくれるようになる日もくる。それでもやっぱり、AIは補助なのだ。

自分で判断できない人は主体性を持って生きているとは言えない。自身の人生を自らの足で歩まなければ、真に充実した幸せな人生を過ごすことはできない。AIが進化してもしなくても、それは今後も変わらない

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