成功したい、を具体化できるか

人生をマネジメント
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主に通勤時にaudiobookで本を聴くことが日課になっている。人気ランキング上位の本や有名どころを聞くこともあるが、タイトルにひかれて選ぶ本の多くが自己啓発関係だ。

基本的にはどれも読み(聴き)やすく面白い。当たり前のこと、すでに知っていること、実践していることも多いが、そういった既存の知識やノウハウでも繰り返し聞くことでより深く理解できる。あらためてハッとさせられることもあり、様々な気づきが得られて刺激にもなる。そして自然とやる気が湧いてくる。

だが、多くの自己啓発本で繰り返し「成功する」という言葉を聞くたびに、少しずつ違和感を覚え始めた。成功するために様々なことを学び、チャレンジし、自分を変えていくための実例やノウハウが、様々な自己啓発本にうたわれているが、では「成功」とはなんなのか。起業し会社を大きくできれば成功なのか。お金を稼いで仕事をリタイアし、働かずに家族と過ごすことが出来れば成功なのか。夢をかなえることが成功なのか。そもそも夢とはなんだろう。

自己啓発の目的が「成功」ならば、まずは「成功」を具体化する必要がある。それは人によって様々だが、私にとっては「幸せ」かどうかが重要なポイントだ。大金持ちになって高級な車にのって都心のタワーマンションに住んで働かずに暮らす、という絵に描いたような「成功者」としての生活をしたところで「幸せ」でなければ意味はない。

少なくとも私自身は今の生活に満足していて、日々幸せを感じている。結婚して子供は二人、一家4人で大阪市内の一戸建てで暮らしている。共働きなので世帯収入は世間の平均以上ある。今のところは家族関係も良好だ。仕事が終われば休日や夕食後に家族でゲームをしたり、週末に外食をしたり皆で遊びに出かけたりすることもある。年に1~2回は温泉やレジャー施設に旅行にも行く。平凡だが、十分に恵まれた生活でもある。

仕事でも、20年間サラリーマン、特にSEとしての知識や経験を積んできた。5~6年おきに社内での異動やグループ企業内企業への出向を繰り返しているが、転勤せずに済んでいるので家族とずっと一緒に暮らせている。職場が変われば、立場も仕事内容も人間関係も変わっていく。毎回いろいろなことを学び直し、足場を固めていくことで徐々に求められる仕事のレベルがあがり、立場も影響力も強くなっていく。それぞれの職場で一定の成果を出せば出向先からは感謝され、出向元からも評価される。その結果が給与や賞与の形で返ってくることで、仕事に対するモチベーションも維持できる。出向を繰り返すことにより、業務知識や人間関係が広く浅くなることには懸念も不安もあるが、人生のための経験値を積んでいるのだと思えば長い目で見て悪くはない。

サザエさん症候群、という言葉がある。日曜日にサザエさんを見ると、翌日から仕事が始まる事を思い出して気が沈む、というものだ。だが今の私には無縁のものだ。仕事より家庭・家族が大事なのは言うまでもないが、仕事は決して苦行ではない。日曜日に、次の日の仕事のことを思って憂鬱になることなどない。私にとって仕事とは、自分の存在・価値を示すための道具に過ぎない。仕事を通じて「承認欲求」や「自己実現欲求」を満たしている。自ら欲求を満たしたいがために、会社に行って仕事をしている。決して給料をもらうことだけを目的に使役されているわけではないのだ。

では今の私は果たして「成功者」なのだろうか。私はメディアや書籍で紹介される「成功者」、例えば発明家や起業家、資産家、一流のプロフェッショナルとはまったく違う。私の自叙伝があってもたいして面白みはなく、読む人は誰もいない。だが、少なくとも私は十分に幸せなのだ。もちろん仕事や家庭において、将来に対する不安はあるが、それはあってしかるべきもので、事が起きた時に全力で善処するしかない。絵に描いたような「成功者」だって不安は付き物だろう。現状に特別大きな不満があるわけではないので、転職などの環境変化も望んではいない。大きく環境を変える必要性がないし、そのリスクに見合った叶えたい欲求があるわけでもない。

面白さや遣り甲斐もなく、興味も学びもない仕事に、ただ給料をもらうためだけに時間を費やすのは苦行だろう。そういった苦行から解き放たれることが「成功」なのであれば、私はすでに成功者なのだ。しかも社会人になって20年経ちようやく成功した、というわけではない。最初からそのレールに乗って成功者としての道を歩んできたのだと思う。仕事や家族、お金や健康、感情、人間関係等、人生を形作る要素に対する考え方、対処を適切に実践していいけば、誰しもが必ず着実に成功に近づいていく。

成功とは一発逆転することではない。誰かを見返したり、人と比べるものでもない。人生をコントロールする術を身に着け、幸せで満足のいく日々を送ることが「成功する」ということだ。私にとっては、その術が「マネジメントスキル」であり、そこから得た経験、学び、気付きを具現化したくて、このブログを始めたのだと、あらためて気づくに至った。

自己啓発本は「成功」のためのきっかけや知恵を与えてくれるが、そこに書かれているサクセスストーリーは、「成功者」にとっての実践例に過ぎない。本の通りに実践したところで、例え状況は変えられても「成功」出来るとは限らない。「成功」やゴールは、人によって違うのだ。お金を稼ぐことは手段であり、ゴールではない。現状に不満がありそこから脱却したいのなら、自分にとっての成功とはなにか、なにが不満なのかを考え、理解することから始めなければならない。

誰にでも成功の可能性はあるが、自己啓発本はただのきっかけを与えてくれるに過ぎない。

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