住宅ローン減税、変動金利の逃げ切り成功

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住宅ローンの支払い10年目

毎年の年末調整時期では生命保険や医療保険に加えて、住宅ローンの税金控除手続きも行ってきたが、2013年の自宅購入時からちょうど10年経ち、その際の10年分貰った『住宅借入金等特別控除申告書』は今年の年末調整が最後の一枚だった。つまり2023年度が住宅ローンの税金控除が受けられる最終年ということだ。

住宅ローン減税は、住居の購入や改築に伴って金融機関から借入を行った場合に毎年借入残高の1%分(2022年以降は0.7%に変更)の住民税・所得税の支払いを免除してくれる制度で、利用期間は10年間となる。

10年前、二人目の子供が生まれて住んでいた賃貸マンションが手狭になったため、もう1部屋多いマンションか一戸建ての購入を検討した。そして元のマンションから徒歩5分程度のところにある建売一戸建てが値引きされていたため、不動産の代理店に連絡して内覧させてもらい、周りの他の物件とも比較して購入を決断した。住宅はおそらく人生で最大の買い物であり、また多くの人にとっては一回限りの大イベントだ。初めてのことの連続で、扱う金額も桁違いに大きかったことから、内覧から契約までの約1カ月間は期待・緊張・不安・興奮でドキドキした日々を過ごしていたことを思い出す。気づけはその時生まれた娘ももう10歳、時が経つのは早いものだ。

契約の際には、銀行からお金を借りなければならない。そしてこの時初めて「住宅ローン減税」という制度があることを知った。お金を借りてローンで支払う場合、当然ながら借りた金額が大きければ利息も増える。そのため、住宅購入のために貯めていたお金を頭金に充てることでトータルで支払う利息を減らそうと思っていた。だが「住宅ローン減税」は毎年の借入残高の1%分を税金の支払いから免除される制度なので、その期間中は借入残高は多い方が良さそうだ。

また、当時から住宅ローンの金利が下がっており、銀行から提示されたのは変動金利で年利0.755%だった。固定金利の利率は覚えていないが、銀行の担当者からは当面金利の低さは続くので今なら変動金利一択で大丈夫、との説明があった。それならばと、3,000万円の変動金利のローン契約をして、不足分は貯蓄を切り崩して支払いに充てた。

一瞬口座の預金残高が3,000万円を超えてテンションが上がったが、その数日後にそのほとんどは住宅購入資金に消えた。残ったのは3,000万円の住宅ローンだ。

ローンの支払いシミュレーション

契約した住宅ローンは、繰り越し返済しなければ毎月81,576円(1回目は差分の74,940円)を420回にわたり35年間払い続けるという内容だ。毎月の支払額は、金利と支払い期間によって半年毎に変わる可能性がある。

ここでローンの仕組みが良く分からなかったため、年利0.755%とはどういうことかを腹落ちさせようと、エクセルを使って返済予定を試算した。最初の13か月分のみ抜粋すると以下の通りだ。

<返済予定:1回目~13回目>

借入残高返済額返済合計利息返済元本返済控除額
1回目30,000,00074,94074,94012,73962,201300,000
2回目29,937,79981,576156,51619,33462,242
3回目29,875,55781,576238,092 19,29462,282
4回目29,813,27581,576319,66819,25462,322
5回目29,750,95381,576401,24419,21462,362
6回目29,688,59181,576482,82019,17362,403
7回目29,626,18881,576564,39619,13362,443
8回目29,563,74581,576645,97219,09362,483
9回目29,501,26281,576727,54819,05262,524
10回目29,438,73881,576809,12419,01262,564
11回目29,376,17481,576890,70018,97262,604
12回目29,313,57081,576972,27618,93162,645
13回目29,250,92581,5761,053,85218,89162,685292,500

利息返済=借入残高×0.755%÷12 ※小数点以下切り捨て
元本返済=返済額ー利息返済
控除額 =借入残高×1.0% ※100円未満切り捨て

タイミングよく11月にローン契約をしたので1回目の控除額は30万円、2回目の控除額は29万2500円となる。そしてこの計算を10年後の12月まで合計109回繰り返し110回目で繰り上げ返済(ローン完済)をした場合、

控除額合計 =2,655,829円
利息返済合計=1,878,034円
逆ザヤ   = 788,273円

となって、3,000万円お金を借りたのに戻ってくるお金が約79万円にもなる。

もちろん変動金利が0.755%という低さで維持されることが大前提だ。そして金利が変わらない状態で35年間繰り上げ返済をしなければ総利息は420万円程度になる。もし最初から金利が1.0%だったら10年間の利息返済は250万程度、35年間で520万程度に増えるし、毎月の支払額も増えるので家計への影響も大きくなっていく。

細かい損益分岐点の算出は難しそうだったので断念したが、少なくとも金利が1.0%以下であれば繰り上げ返済はせずおいた方が住宅ローン控除を最大限に活用できる。そして途中で金利が上昇するようなら、その時にシミュレーションをし直して繰り上げ返済するかどうかを判断することにした。

金利は上がらずに10年経った

結果的にこのときの判断が正しく、いろいろな事情で金利は0.775%と変わらなかったため、住宅ローン控除を最大限に享受することができた。

使わなかった住宅購入用の貯蓄は知り合いのFPに相談して貯蓄型の生命保険契約に充てたので、10年運用したことで銀行に寝かしておくよりも高い利息がついて返ってくる。またローン完済を目指してこの10年貯蓄を続けていたため、現在の貯金をかき集めれば繰り上げ返済してローンを完済することが可能だ。今後は毎月8万円分を子供の教育や夫婦の老後のために貯蓄に回すことができる。

ほぼすべて10年前に見込んでいた希望通りに進んだことは我ながら驚くばかりだ。だが計画に沿ってコツコツと資産運用、貯蓄を続けてきたことが実を結んだわけで、決して偶然の産物ではない。これが時間を味方につけた、ということだろう。短期間に住宅購入資金を用意することは難しく、それだけのお金を用意するには作戦と、それを実行する意思が必要なのだ。

ただ、住宅ローンの完済についてはまだ最終判断はしていない。なぜなら住宅ローンの契約者に契約中に事故や病気で返済が出来ない状態になるとローン返済は免除されるのだ。ローンを完済しても、そのあと私が仕事を続けて安定的に収入を得られれば問題ないが、その前提が狂うと家族が路頭に迷う可能性もある。78万円の一時的な利をとるか、将来のリスクに備えて1,000万程度ローンを残すか、悩みどころではある。

といっても現時点でなにか健康面で不安があったり自覚症状があるわけではない。とりあえず今月中に人間ドックで指摘された血液検査の再検査を受ける予定なので、その結果を見てから最終判断をすることにした。そこで問題なければ、10年にわたる住宅ローンの支払いはコンプリートしても良いだろう。

住宅ローン減税、変動金利の逃げ切り成功!というわけだ。

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