出向者のジレンマ

人生をマネジメント
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今年の1月で、システム会社からグループ内の事業会社に出向して5年が経った。

通常、事業会社に出向する際は元々担当していたシステム・業務に関連したタスクを担うケースが多い。それまでの経験・人脈を生かせるため出向時の不安や負担が少ないし、逆に事業会社での経験は自社に戻ったときにシステム開発にも役に立つ。元々期待されて人選されるということもあるだろうが、1~2年の短期間で出向を終えて、戻ってからチーム長や次長として出世する人を何人も見てきた。また部次長といった管理職の層でも定期的な出向があり、こちらは役員へのステップにもなっているようだ。

しかし私はこれらのパターンとは異なり、運用会社への出向からそのまま事業会社への出向に切り替わったため、元々担当していたシステム・業務というものが存在しない。それゆえ積極的に自社に戻る理由も、そして戻したい事情も存在せず、気付けば出向期間は10年を越えていた。また当時は出向中の評価基準があいまいだったこともあって給与ランクのアップが出来ず、役職者の資格を得られないまま入社20年を越えるベテラン社員となってしまった。簡単に言えば出世コースからは外れてる。

数年前に給与レンジの上限に達して昇給が止まったことで、自身の置かれた状況にようやく気が付いたが、すべてはもう手遅れに近い。

だが去年から人事制度が変わり、管理職にならなくても基準を満たすことができれば昇給が可能になった。今年度の実績報告は済んでおり、実際に昇給が再開するかは6月にならないと分からないが、少なくとも管理職へのこだわりはなくなった。

このブログでも度々触れてきたが、現状を分析・整理することで、あきらめに近い気持ちを抱きつつもある程度は自身を納得させて日々を過ごしている。

出向者のジレンマ

先日、とある飲み会で別のグループ会社から事業会社に出向し、そして2年ほど前に帰任した元同僚と話す機会があった。彼は40代半ばで出向し、50歳を迎える前に自社に帰任していた。

人材交流や特定のプロジェクト支援など、出向における目的やミッションが定まっていれば良い。だが私や彼のように明確な終わりが決まっていない場合、様々な不安を抱えながら出向することになる。彼もまた、今の私と同様に出向者のジレンマに悩み、葛藤し、帰任を決断していた。

出向先で困難なプロジェクトやタスクをアサインされ、それらをやり遂げたことで出向先からは感謝・評価されたとしても、その成果を自社から適切に評価してもらえているかが分からない。年数回の評価面談で「評価している」と言われても比較が出来ないので昇給や賞与が妥当かが判断できない。自社で管理職となり組織運営や育成に携わっている同期・同僚は昇進、昇格していく姿を見ると、彼ら彼女らと比較した際の場所が見えなくなってくる。出向期間が流れくなればそういった不透明感は不信感となり、不安は増していく。

事業会社での仕事は予算規模も大きく、プロジェクトの難易度も高いため、やり遂げることは容易ではないが、それに見合った達成感を得ることが出来る。やりがいがあるし、そういった仕事を続ける事で成長を実感できる。だがその反面、このまま出向を続けていて良いのか、早く帰任しなければ取り返しがつかないのではないか、焦りと不安は募るばかりだ。

出向から戻ったあとで、やりたい仕事が出来るか

だが、帰任した彼は理想と現実のギャップに悩んでいた。

・帰任によって副部長に昇進していたが期待よりも昇給が少なく、裁量労働となって残業代が付かないので出向時より給料が下がった。
・帰任後、案件の規模・予算が格段に小さくなり、やりがいも達成感もない。
・仕事が面白くない。
・上司がイマイチで、指示や判断がストレスになる。
・今54歳で、60歳定年とするとあと6年間も面白くない仕事を続けると思うと辛い。
・可能ならばもう一度事業会社に出向したい。役職が無くなっても良い。

そして私には「帰任しても出向中のように面白い仕事が出来るわけではない。今必要とされているのなら、無理に戻る必要はない。」とアドバイスをしてくれた。

出向元や年齢、立場の違いはあるとしても、彼の言葉は重い。

10年間の出向により様々な案件、仕事を経験し成長してきたが、本来自社で積むはずのプログラム開発や基盤構築からは遠ざかっている、その土俵では戻っても評価されないし、勝負にならない。戻るのならこれまでの経験・キャリアを掛け算にしたい。とはいえ50代になればさらに選択肢・可能性は減っていく。決断するのなら、行動するのなら早くしなければ手遅れになるのではないか。

だが、彼が言うように自社に戻る事ですべてが解決するわけではない。60歳、65歳の定年を見据えて帰任したことでやりがいも刺激も成長も実感できない仕事をあと20年続けるのならば、出来る限り現状の立場で面白くやりがいのある仕事に携わる方が幸せなのかもしれない。

子育てはあと10年、ある程度先を見通せるだけの収入、蓄えがあるのだから、やりがいや幸福感、楽しさを軸にこの先を考えても良いのではないか。上を目指し、収入を増やすことはもはやあまり重要ではないし、今更出世しても、ただ負担が増えるだけで利点は多くはないかもしれない。

次を考えながらも判断は冷静に

彼との会話により、とりあえずむやみやたらと焦って行動するのは良くないな、と思った。ただ今の事業会社への出向は5年以上になり、以前のように日々の発見・成長を実感することは減ってきている。これまでの出向・異動サイクルからすれば、そろそろ立場・環境を変えて新たなチャレンジをしたい、という気持ちもある。

焦って選択肢を狭めるのではなく、今までの経験を生かしたチャレンジ、掛け算によって価値をアウトプットできるチャンスを探してアンテナを高くし、いつでも決断できるよう準備は欠かさないようにしておきたい。

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