墓参りとビジネス

お金をマネジメント
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実家に帰る際はできるだけ墓参りに行くことにしている。子供のころは会ったことのない「ご先祖様」のお墓だったが、今では祖父母が眠っている。その祖父母に会いに行きたいという思いもあるし、墓参りを通じて子供たちには自分のルーツを知って欲しい。いつまで子供と里帰りができるか分からないので、子供と両親、その祖父母の3世代で墓参りをするという時間を大事にしたい。

幸い父方のお墓は実家の駅のそばにあり、また母方のお墓は母の実家の目の前にあるので、私自身が里帰りのついでに墓参りに行くことは難しくはない。だが少子高齢化や都市部への集中によって定期的な墓参りが困難になり、無縁仏になる前に終活の際に先祖の墓を整理・墓じまいをするケースも増えていると聞く。私も今後、両親が亡くなったあとで墓参りのためだけにどれだけの頻度で里帰りができるか分からないし、遠くない将来に考えるべき時が来るだろう。

最終的には、永代供養にすることでお墓の管理・供養を寺社に任せるのが現実的かもしれない。また、お墓の管理を専門業者が請け負う、というビジネスもあるようだ。だが個人的には、そのようにお墓の形だけ残すことは問題解決の先延ばしに過ぎないし、ある種の自己満足のような気もする。とはいえお墓を完全になくしてしまい、だからといって仏壇を置くこともないのなら、亡くなった人たちのことを思い出す機会もなくなってしまうのは寂しい。死後の世界なんて死んでからしか分からないのだから、お盆や正月にお墓参りをしてもしなくても、実質はなにも変わらないのだろう。結局はお墓も墓参りも、亡くなった人と残された人双方にとっての自己満足なのかもしれない。

お墓に花を飾る事

ゴールデンウィークに墓参りに行った。その墓地には小さな花屋が隣接しており、高齢のおばあさんが一人で仏花を売っていた。父が墓に備える花を購入した際に、前は1ペアで千円だったのに五百円も値上がりしたと嘆いていた。物価上昇の影響は物価にも及んでいるのか、ダイナピックプライシングを導入したのかは分からない。

お墓は、数カ月前に供えたと思われる花がカリカリに枯れて残っていた。しかも花立てに残っている雨水のせいで、根元の部分は腐って少し悪臭を放っていた。まずその枯れた花を交換し、濁った水を捨ててから花立を洗い、買ったばかりの花に入れ替える。そのあとはお墓に水をかけ、草むしりをして足元をきれいにし、線香をたいてお参りをする。顔も知らないご先祖様と、数年前に亡くなった祖父に近況を報告し、また家族を見守ってもらうようお願いをした。

ふと周りを見ると、同じようにカリカリの花が残ったままになっていたり、長い間だれも訪れる人がいないせいで荒れ果てている墓も多かった。ゴールデンウィークということもあって墓参りの客もちらほら見かけたが、訪れる人がいなくなってしまったお墓もあるのだろう。その中で少し違和感のある花が飾ってあるお墓があったので近づいてよく見ると、そこに供えてあったのは造花だった。たしかに造花であれば枯れることも腐ることもない。なんとなく生花でなければいけないと思い込んでいたが、頻繁にお参りにこれないのなら造花という選択肢もゼロではないのだろうか。100均で売っているような安物でなければ、遠めに見れば造花とは気づかない。ずっとお墓に華やかさを与えてくれる。

ただ私としては、亡くなった人に対して命のないもの(生花に命があるか、といわれると微妙だが)を供えるのは抵抗がある。個人の考え方にもよるし、各々の状況によっては仕方がない面もあるのだろうが、私はできるだけ生花にこだわりたい。

供花代に回収費用を含めるビジネス

とはいえ、カリカリに枯れた、腐っている花を供えたままにしておくのもご先祖様に悪い気はする。それなら造花のほうがいい、と言われるかもしれない。本来なら定期的に墓参りに来て、毎回花を供えることはしなくても、枯れた花を自分で片づけまでできれば理想だ。だが近くに住んでいる父であってもそれは負担が大きいだろう。そこまで亡くなった先祖のために時間を使っていては、誰の人生か分からない。

となれば、枯れた花の片づけを花屋さんに委託してはどうだろうか。通常千円で売っている供花に回収代込みで二千円払い、花屋さんが墓地のマップを用意しておいて購入者に対象の墓を書いてもらう。花屋さんが週末しか店を開かないのなら、片づけは2~3週間後でも良いだろう。よほどの規模の墓地でもなければおばあさん一人でもなんとかなる。今の営業形態を大きく変える事なく収入が2倍になるのなら悪い話ではないのではないか。

そこにオプションで水やりや草むしり、お墓の清掃などを追加していくと完全に代行サービスになっていく。毎月新しい花を交換し、草むしりや簡単な清掃をしたあと、お墓の写真をユーザーに送る、というサービスを確実に提供するには管理をしっかりしないといけない。毎月5千~1万円のサブスク契約なら収入額も大きくなるが、さすがに管理者と作業者が必要になってくると花屋のおばあさん一人ではやりくりができない。

契約面や収入・支出の管理、および作業者の募集・支払いを任せられるようなアプリやWebサービスがあればハードルは低くなる。中小企業や個人事業者向けサービスのCMをたまに目にするので、実はすでに便利なモノがあるのかもしれない。となれば、あとはおばあさんのやる気、モチベーション次第だろうか。そこまでお金を必要とはしておらず、社会との接点やライフワークとして花を売っているのなら、変化を避けて現状維持で満足なのかもしれない。

日の目を見ない供花片づけサービス

需要があり、そしてその需要にこたえるサービスを提供できる人がいて初めてビジネス成立する。現状、墓地の花屋にどれだけの収入があり、どれだけの客が訪れるのか分からないが、少なくとも私は供花片づけサービスがあれば是非にお願いしたい。次の墓参りのときまで枯れて腐った花をそのままにしておくことが無くなるのなれば、先日感じたような不快感や罪悪感を感じなくても済むのだ。それなら千円の片づけ費用は決して高いとは思わない。

だがここでブログに書いているだけでは、供花片づけサービスが実現することはないだろう。似たようなサービスを別の業者が始めることはあっても、私の先祖が眠る墓地にそのサービスが提供されることはない。一定の需要がなければビジネスとしては成立しないとはいえ、小さく始める限りは追加投資はほとんどいらずリスクもないのだ、まず花屋のおばあさんがそういった新しい取り組み、いわば事業拡大をすることは考えにくい。なぜならその花屋は、私が知る限りずっと同じ形態で花を売っていて、新しい試みや改善に取り組んでいるようには見えないからだ。

新しいことを始めるには少なからずパワーがいる。そしてそのパワーは本来、年齢ではなくそれまでの習慣・その人が持ち続けてきた考え方・人生観によって大きく左右される。仮に花屋のおばあさんがそういったパワーを持った人であったなら、長い間ずっとほそぼそと花を売っているとは考えにくい。きっといろいろな意味で今の状態が居心地がよく、積極的に変化する必要はないのだろう。変化を求めなければ、そこに新しいビジネスが始まることもない。そしておばあさんが花屋を続けられなくなったその時、墓地から花屋自体がなくなるのだ。

ただし墓地は自治体が運営しているので、そこに隣接する花屋は実は自治体から委託されているのかもしれない。それであれば、その契約内容にないことを始めるにはまず自治体と調整がいるし、そもそも強化の売り上げに関わらず自治会から委託料が支払われているのなら、花屋が自ら新しいサービスを始める必要はない。また、そのおばあさんが花屋を続ける事ができなくなっても、需要があれば花屋自体は存続するだろう。

何がビジネスとなりうるか

今のところ私自身がなにかビジネスを始める気持ちはない。ただビジネスとまではいかなくても、常に新しいことを始めるきっかけを探している。日常のふとした不便を解消するためのサービス、ビジネスを考えることは、その不便さの根底を考えて調べる良いきっかけになる。

サービスを受けることを当たり前と思わず、いつ私がサービスを提供する側に回るとも限らないのだから、アンテナを張って情報収集を怠らず、日々トレーニングをしていこうと思う。

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