新NISAの盛り上がりを受けて、クレジットカードによる積み立ての上限が5万円から10万円に引き上げ可能となり、証券会社は各社それぞれの具体的な対応が明らかになってきた。
3月8日、内閣府令「金融商品取引業等に関する内閣府令」が一部改正され、クレジットカードによる投資信託の積立購入(クレカ積立)の上限額が、月5万円から月10万円に引き上げられた。これを受け、SBI証券や楽天証券などがクレカ積立上限額を月10万円へ引き上げると発表した。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1574906.html
私は楽天証券でクレカ払いと楽天キャッシュで5万円ずつ、NISA枠で毎月積み立てを行っている。またSBI証券でも5万円分の積み立てており、両社の上限引き上げによる対応に応じて、積み立て内容の見直しを行った。
SBI証券は10万円に引き上げる
まずSBI証券だが、カードの種類や利用金額に応じて複数のパターンがあり、かなりややこしい。とりあえずは2024年9月まではキャンペーンがあり、クレカ積み立て額を10万円に引き上げても今までの利率が維持されることは分かった。私はOliveゴールド保有者だから10万円積み立てればVポイントが1,000円分付与される。
キャンペーンは9月で終了し、10月以降はクレカ払い引き上げに応じた新しい付与率が適用される。この際、前年の利用額によってはポイントが付与されない可能性が出てくるので要注意だ。
https://www.smbc-card.com/nyukai/pop/details_olive_gold.jsp
私は23年度に100万円修行を達成しており、24年度いっぱい1.0%還元が継続する。24年度も100万円支払いにチャレンジするか決めかねているが、光熱費だけでも年間30万円近くはOliveゴールドでの支払いになる※ので、付与率が更に変更されない限りは少なくとも0.75%還元が25年度以降も約束されている。
※kyashへのチャージは楽天カードだとポイントが付与されないが、三井住友カードは0.5%付与されるため、kyash経由での光熱費支払いは楽天カードより三井住友カードの優位が継続。なお昨年は固定資産税をとLINEpay経由でしはらったが、大阪市は2024年4月時点でLinePayの取り扱いは対象外となったため、今年は楽天ペイでの支払いに変更した。
つまり、毎月10万円にクレカ払いを引き上げた場合、24年度は合計120万円で12,000ポイントが、25年度以降も9,000ポイントが付与されるのだ。Oliveゴールドがメインカードでなくとも達成できるのだから、このポイントは悪い数字ではないだろう。ちょうど住宅ローンも完遂したので、その分から5万円分をSBI証券のクレカ払いに振り分けることにした。
楽天証券は楽天キャッシュでの支払いをやめる
楽天証券は、クレカ積み立て枠が10万円に引きあがってもポイント付与率自体は変わらない。だが元々のポイント付与条件がややこしいので、こちらもあらためて整理が必要だ。
まず投資信託の代行手数料が0.4%以上の商品なら1%のポイントが付与されるが、それを下回る場合はクレジットカードの種類によって付与率が変わる。楽天証券側の収入にあわせてポイント付与率が変わるのは当然と言えば当然だ。
手数料が高いということは、投資信託を運営する側に手間がかかる、言い換えればより手厚く運用をしているということなので、手数料だけでどの投資信託を購入するか判断しても意味はない。実際私は、クレカ払いは代行手数料0.4%以上の投資信託を積み立て設定している。つまり5万円分のポイント付与率は1.0%、年間だと6,000ポイントだ。仮に同じ銘柄を2倍購入して上限を10万円まで引き上げれば12,000ポイントまで増やすことが出来る。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/creditcard/list.html
そして楽天キャッシュで投資信託を購入する場合、楽天カードから楽天キャッシュへのチャージで0.5%のポイントが付与される。私はこの枠では、代行手数料が0.4%未満の投資信託を毎月5万円分購入しているため、ポイント換算するとこちらは年間3,000ポイントになる。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/rcash.html?l-id=mem_pc_fund-top_edt_side_guide_rcash
クレカ払いの上限引き上げの際にまず考えたのが、単純にクレカ払いを5万円ふやす、ということだ。その際に代行手数料が0.4%以上の投資信託を選べば毎月10万円の積み立てに1.0%のポイントが付与されて年間120万円に換算すれば12,000ポイント。そして楽天キャッシュ分も維持すれば、年間60万円に0.5%のポイントが付与されて3,000ポイント、合算すれば15,000ポイントにもなる。
だが新NISAの積み立て投資枠は年間120万円なので、月15万円分はNISAの枠を超えてしまう。加えて楽天証券で購入できる投資信託のうち、積み立て投資枠で購入できかつクレカ決済で1.0%のポイント付与がある投資信託は全体の数パーセントしかない(2024年4月時手で19銘柄)。できれば1銘柄2~3万円に抑えてリスクを分散させたいところだが、選択肢が少ないと思うような投資ができない。
また私が楽天キャッシュで購入している投資信託は基本的にインデックス投資であり、日程平均やダウなど様々な指数の動きに合わせた商品のため、大きなリターンは得にくいがローリスクで長期投資に向いている。つまり、現状のクレカ払い5万円は投資信託のなかでもリスクが高めであり、対して楽天キャッシュの5万円は手数料もリスクも少ない銘柄、というポートフォリオになっている。
ポイントはあくまでオマケであり、将来に備えた資産をリスクを抑えて形成するかが重要なので、ここでポイント獲得のみを基準にしてしまうと無用なリスクが増えて本末転倒だ。
そのため楽天証券での投資信託のクレカ積み立てはNISAの積み立て投資120万を堅持することにした。ただ支出がクレカと楽天キャッシュの二つあるのは管理がめんどくさく不便を感じていたので、今回のタイミングですべてクレカ払いに変更する。その結果、クレカ払い10万円のうち、5万円は1.0%、もう5万円は0.5%のポイント付与率となり、年間120万円の積み立てに対して9,000ポイントが付与されることになった。
ちなみにゴールドやプレミアムへの切り替えも少し考えたが、損益分離点を下回りそうなのでやめておいた。ゴールドの場合年会費が2,200円かかるので、年間60万円分のポイント付与率を0.25%上げたところで1,500ポイントしか増えない。プレミアムは年会費11,000円なので、あと8,000ポイント分を楽天市場の誕生日月特典+1.0%、グループ特典(火・木のみ+1.0%)で賄おうとすると日々の買い物に制約事項が増えすぎる。
https://www.rakuten-card.co.jp/card/rakuten-premium-card/
楽天証券とSBI証券、どちらが良いのか。
今回のクレカ積み立て上限引き上げにともない、あらためてどちらの証券会社を選ぶべきか迷う人も増えているだろう。だが結論は簡単だ。楽天ポイント経済圏の住人は楽天証券、Vポイント経済圏の住人はSBI証券、私のようにどちらも貯めている人は、リスクや投資の目的・バランス、投資金額によって配分すればよい。答えは一つではないのだ。もちろん、私の選択も一つの例に過ぎず、正解なんてない。
ポイント付与が各社の武器でもあり、またリスクは負担にもなっている。大事なことは本当の目的を見失わず、オマケのポイントをできるだけお得にたくさん獲得して、ポイ活を楽しみつつ日々の生活を充実させることだ。またポイント制度はコロコロと変わるため、気付けばお得感が無くなっていたり、ポイントが付与されなくなっていることもある。そういった日々の変動についても、無理なく付き合っていくことがポイ活の醍醐味だ。繰り返すがポイントに振り回されてストレスになったり、リスクを高めてしまうことはなにより避けるべきだ。