IT業界の人気がさらなる人手不足を招く

仕事をマネジメント
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人手不足である。

少子高齢化により労働人口が減っていることが大きな要因と言われるが、サービスや仕事が多様化したことで働く側に選択肢が増え、それによって給与や労働環境が良くない会社は選ばれにくくなったのも理由の一つだろう。

私の働いているIT産業には様々な職種が存在する。システムエンジニアやプログラマーだけでなく、データサイエンティストやAI技術者といった高度な人材もいれば、データ入力やパソコンメンテナンスといった仕事もITに含まれることもある。IT=インフォメーションテクノロジーの略なのだが、テクノロジーとは無縁の内容であってもかまわない。特定のIT技術を持っていなくてもITエンジニアと呼ばれることもある。

これらは基本的にデスクワークなので、お店での販売や建築、警備などの肉体労働と比べれば、体力面では楽な印象があるかもしれない。また最近は働き方改革などもあって、有給休暇の取得が義務づけられていたり、サービス残業を禁止する会社も多い。一時期はブラックな職種の代表格だったが、労働基準監督署が目を光らせていて、十数年間と比べれば労働環境は格段に良くなった。平日は9時~23時まで働いて、トラブルがあれば土日も出勤する、なんてことはもう過去の話だ。

加えてこのコロナ禍によって、IT業界はリモートワークに大きくかじを切った。私も週2~3日は在宅勤務をしていて、通勤の負担軽減にもなるし通勤時間の有効活用、また家族と過ごす時間が増えたことで、ワークライフバランスも向上している(運動不足、という弊害もあるが)。従業員に出社を義務図ける企業も出てくるなどリモートワークにも様々な課題はあるものの、働き方の一つの選択肢としては定着している。

そういったIT業界では採用の急拡大、新卒・中途に限らず給与アップの発表が続いている。IT業界は景気が良く、コロナ禍であっても好業績の会社が多かった。そういったニュースを目にする機会が多いこともあって、情報の少ない学生がIT業界を就職先の候補に選ぶケースも増えていく。飲食業や観光業はコロナ禍での大量解雇があり、建築や医療・介護は労働環境が良くない印象も強いので、学生から選ばれにくくなっている。その結果人材不足に拍車がかかり、既存の従業員の負担が増えて労働環境がさらに悪化する、という悪循環だ。他業種のことは詳しくは分からないが、学生には「基本的にデスクワーク」「リモートワークによるワークライフバランス」「賃金アップ」といった言葉が並ぶIT業界の方が魅力的に映るのではないだろうか。

IT業界の人気と弊害

しかし、その弊害として低スキル&低賃金のIT技術者が大量に生まれてしまった。IT業界は特別な資格は不要だが、就職してから覚えること、学ぶことは多岐に及んで終わりがない。仕事を通じて覚えていくことも多いが、技術は常に進歩しているので自分で責任感や向上心をもって自己研鑽に努めなければ流れについていけない。いつまでたっても基本的なことしかできないままでは「誰でもできる、代わりの利く仕事」しかアサインされずに給料も上がらない。

誰にも得手不得手があり、また仕事や作業の好き嫌いもある。好きなこと・得意なことに対して、必要な知識やスキルを習得するための勉強は楽しいし、あまり時間もかからない。だが苦手なことを学ぶのはつらく気が乗らないものだ。

また、この業界では職種が高度になり仕事の難易度が上がるほどに「分からない事」に対処する能力が欠かせない。例えばネットや書籍から情報を収集したり、先輩や上司、場合によっては他部署他社に教えを乞う必要があるため、積極性やコミュニケーション能力が重要になる。また、得た情報を整理・分析して答えを導く能力がないと「分からない事」を「分かる事」に変えることが出来ない。仕事をする中で身に着けていける部分もあるが、生まれ持った能力や得手不得手に左右されることも多い。

誰でも就ける仕事・業種ではあるが、誰でも高収入を得られるわけではない。どんな職業であっても、給料は能力・成果によって支払われるので、適性のない職業を選択してしまえば給料が上がらないどころか、楽しさや達成感を得ることもできず、不幸せな人生を送ることになってしまう。いやいや働いていては高い生産性は望めず、仕事の効率も上がらない。それは本人にとっても会社にとっても不幸なことだ。適正な人材が確保できなければ、IT業界も結局は人手が足りない状況が続いてく。

IT業界に適性がない人もいる

「基本的なこと」すら出来ないIT技術者も増えている。

・期限管理ができない
・マニュアルや手順書が理解できない
・指示に従わない
・文章能力が低い
・自らコミュニケーションをとらない
・分からない事があっても質問しない
・ひたすら指示を待っている
・コンプライアンス意識が著しく低い

こういった自称(他称)IT技術者であっても、作業内容が固定でマニュアルが全ての仕事であれば労働力としてはカウントできる。だが当然ながら低賃金だし、少しの異例なケースにも対応できないレベルだと雇う側・雇われる側ともにストレスになって、幸せな働き方は望めない。

持って生まれた能力の低さ、というよりは「好き嫌い」であったり「興味を持てるかどうか」によって、分からない事を分かるようにするモチベーションが低いのだと思う。それであれば、「好きかどうか」「得意かどうか」で仕事を選び直した方が良い。よほど高度な資格が必要な職種でない限り、今やどこも人手が足りていない。もともと賃金が低く好きでもない仕事ならば、転職によるリスクもほとんどない。資格が必要であっても、資格なしで見習いで就職してそこで資格を取って正式採用する、という会社もある。

エアコンの取付工事や、電線のメンテナンスができる技術者が不足している、というニュースを見た。また建築現場の作業員もなかなか集まらないらしい。昔ならそういった仕事についていた人たちが、IT産業に流れてきてしまっている。IT産業に適性のある人もたくさんいるが、文章能力やコミュニケーション能力の低さに苦労し評価を落としている人たちの中には、電気技術者や現場作業員の方が活躍できた、という場合もあるだろう。

好き・得意な仕事や作業なら、学ぶことも苦にならない。私がお世話になったエアコン取付工事の技術者は、技術力もさることながら、エアコンについてたくさんのことを知っており、分かりやすくいろいろな説明をしてくれた。大変な仕事だし給料もあまり多くはないのだろうが、楽しそうに働いていたのが印象に残っている。

好き・得意を仕事にすべき

好きなことをして高い収入が得られれば言うことはない。

好きでなくても技術や適性があれば高い収入を得ることが出来る。会社が評価をしてくれなければ、より評価してもらえる会社に転職することも選択肢だ。

収入が高くなくても、好きなことを仕事にできていれば、生活水準の制限は必要かもしれないが、それでも十分に幸せな人生を送ることができる。

好きでもなく、技術・適正もなく、収入も高くない仕事であれば、さっさと辞めて新しい仕事にチャレンジしよう。人手不足の今、給料が下がることは考えにくいので、そこにリスクはほとんどない。1日の3分の一も労働時間に費やすのだから、好きなこと・得意なことをして気持ちよく楽しく幸せに生活できるのが一番だ。

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