子供に「勉強しろ」とは言わない

家庭をマネジメント
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中学生の息子、小学生の娘には「勉強しなさい」という代わりに「やらないといけない事は終わっているか?」と問うようにしている。「やらないといけない事」は、学校や塾から与えられた宿題だけでなく、自分自身で必要だと思うことや日常生活の中ですべき事、例えば部屋の片付けや翌日の準備なども含まれる。その日にやるべき事が終わっていれば、残りの時間は自由に使えばいい。終わっていないなら、いつから始めるのかを決めておかなければ時間はどんどんと流れていく。過ぎ去った時間はどうしても取り戻すことはできない。

中学生の勉強計画

私立中学に通う息子は、中学に入ってからは「何をどれだけどうやって勉強するか」をすべて自分で考えるようになった。テスト期間になればスマホの利用時間にも制限をかけていたが、1学期の期末テストからはその制限もやめた。計画通りできているか、順調かどうか、といったことを日常会話の中でそれとなく聞くことに留めている。親は干渉を最低限に抑えて子供の自主性を尊重する、子供はすべきことを責任を持ってする。そんな中学校生活が、ようやく親子双方で定着してきたように思う。

私自身、学生の頃は細かく計画を作ってその通りに実行するのが性に合っていた。少なくとも中学生のころはその計画が機能していたので、息子も同じようにすればうまくいくだろう、と思っていた。だから中学受験の際は、細かく計画を立てた計画に従わない息子を見てイライラすることも多かった。逆に嫁はざっくりと予定を立てて、やりやすいものから手を付けていくタイプであり、計画を作るのに時間をかける私と息子に対してストレスを感じていたらしい。

今となっては中学受験の際に細かく計画を作ったことが良かったのかは分からない。息子も自分でやりたい事が他にもあったのかもしれない。ただ少なくとも息子は自身の経験から「計画を作ることは大事」ということは理解したようで、それだけでも中学受験の価値はあったかな、と思っている。

ただ、これから高校、大学と進んでいくにあたって、さすがに親が子供の勉強計画に干渉し続けるのは限界がある。息子自身の勉強ペースもあるし、学校や友人との予定をすべて親と共有するわけでもない。予定が共有されず情報格差が生まれ、それが更なるストレスと家庭内不和を生じることにもなりかねない。そういうこともあって、中学では息子の勉強計画に口を出すことはやめた。たまに自身の経験をふまえてアドバイスをすることはあっても、そのアドバイスを活かすかどうかは息子次第だ。

小学生の勉強計画

最近では小学校でも、子供たちに自ら計画を立てさせるようになっているらしい。「けてぶれ学習法」といい、『計画』→『テスト』→『分析』→『練習』という自己改善のサイクルを繰り返す学習法だ。

一週間分の計画を作り、漢字テストの準備や苦手な教科の自己学習をいつどれだけやるかを決める。そしてテスト結果などを元に子供たちは自ら良かったところ、悪かったところを分析・評価する。教師も随時、計画と結果を確認し、アドバイスを与えて次の計画作成にフィードバックする。

漢字のテストは、以前は次のテストに出る漢字が決まっており、そこだけ前日に丸覚えすれば100点が取れるようになっていた。しかし今は一週間分のテスト範囲のうち、どの漢字がいつ出題されるか分からないようにしていて、前日に丸覚えすることが難しい。計画的に取り組まなければ結果がでないのだ。

そして各自の勉強計画はクラス内で共有するので、子供同士でもフィードバックが生まれ、また計画を立てる習慣も身に着く。テストの平均点も、始めたころに比べればグッと良くなったらしい。

娘が家でその勉強計画を作ったり見ている素振りはないのだが、懇談会で担任が言うには「良くできている」とのこと。塾の宿題も同様に何をいつやるかを自分で決めさせるようにしているので、本人にとっては手慣れていたのかもしれない。

娘は息子以上に気分屋であり、目の前の娯楽に流されやすい。そしてやる気が出ない状態からの動き出しが非常に遅い。また、気分を害されるとさらにやる気が低下するので、youtubeを取り上げて強制的に宿題をさせようとしてもうまくいかない。親子ともに多大な体力を消耗しストレスも溜まるので、特に塾に行き始めたころは大変だった。

だが自分で計画を作るようになったことで、本人が「何をいつまでにやらないといけないか」を自覚するようになった。「宿題をやらずに塾に行く」のは、塾の先生に注意されたりテストの結果が悪くなることが分かっており、そういった事態を回避するためにも、自分の意志で娯楽を中断して宿題に取り組む習慣ができている。

まだ娯楽への欲求に流されてしまい、寝る前に眠い目をこすりながら宿題をすることもあるが、小学校と塾の勉強サイクルがうまく回っており、また模試の結果も少しずつ良くなってきているので、このままの調子で行ってほしい。

親の役割は「アラーム」でいい

与えられた計画に従っているだけでは、結果が伴わなかった場合に言い訳ができてしまう。だからこそ、自分で考えて計画を作ることが重要だ。親や学校が作った計画のほうが効率的でより効果が高いかもしれないが、本人が自らの課題を認識し、目標を設定すれば、勉強へのモチベーションもあがる。勉強は自分のためにすることだし、練習や訓練、修行と同じように強制的にやらせても十分な効果が得られない。

自ら計画を作り実行し、結果に応じて振り返りをする。うまくいったことは継続し、うまくいかなかったことはその原因を自分の中に見つけ、改善策を考えて次に生かす。その繰り返しで計画の精度は高くなり、効率・効果も上がっていく。時間が足りなければ自らの意志で遊びと勉強の配分を調整することもできる。成果が出れば自己肯定感も高まるし、自然と忍耐力や根気、自制心も身に着くだろう。親や学校から押し付けられ、勉強が義務化してしまうと「やらされ感」ばかりが増えてストレスも増えていく。

「勉強しなさい」と親に言われて嬉しい子供はいない。そして子供が言うことを聞かなければ、親もストレスになるし、つい声が大きくなると家庭の雰囲気も悪くなる。そんな状況ではますます子供も勉強しようとは思わない。

だが、子供が自ら計画を作って「何をいつやるか」を自覚していれば、あとは子供たちに任せればいい。そして「勉強しなさい」ではなく「やらないといけない事は終わっているか?」と問うことで、自ら立てた計画を意識させる、いわばアラームのような役割に徹するべきだろう。そして、計画に沿って実行し、結果に応じて改善するサイクルが回るよう、教師や親はアドバイスをする。あとは子供の計画の邪魔にならないよう、家族でのイベントや食事のタイミングなどを調整するくらいで十分だ。

「勉強しなさい」といって良いことは何もない

勉強は本人の取り組む姿勢で結果が大きく変わる。無理やりやらせるのではなく、どう本人が自らの責任で勉強するように仕向けるかが重要だ。

子供たちに任せてマイクロマネジメントをしないことは、親としても忍耐が必要だ。だが任せてフォローに徹すると決めたことで、私も嫁も日々のストレスから解放されたように思う。

息子も娘も、このまま学校生活が順調にいくかは分からないし、受験が近づけばうまくいかない事もでてくるだろう。それでも私が子供たちに「勉強しなさい」ということは、この先も二度とない。

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