タイパより大切なこと

時間をマネジメント
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あるテレビ番組で関西人はせっかちだと言っていた。1分1秒の無駄を嫌い、時間を節約することが満足度を高める。逆に予期せぬ待ち時間には強いストレスを感じるため、外食ではお店側もできるだけ早く食事を提供しようとする意識が強いそうだ。そんな地域では客のストレスによるトラブルも起こりやすいのかもしれない。

私は関西には20年以上住んではいるが出身は愛知県であり、生まれ持っての関西人ではない。もう人生の半分近くを関西で過ごしているが、それでもほとんど関西弁にはならないし、考え方や気質についても生粋の関西人とは大きく違うことは実感している。

私の嫁は生まれも育ちも関西であり、コテコテという程ではないにせよ生粋の関西人といってよいだろう。私がはっきりとした目的もなく商品を物色したり、注文に時間をかけるとイライラするようで、一緒にいる嫁からのプレッシャーを感じることがある。私としては、注文に時間をかけたり購入する際に迷うのはある程度は客側の権利だと思っている。急いで決めて後悔するよりもちゃんと納得してから注文したいのだ。だが関西人は、パパっと用事を片付けなければ気が済まないらしい。コスパ=費用対効果よりも、タイパ=時間対効果のほうがより重要な住民性なのだ。

私も無駄なことは望んではいない。お金も時間も限りがあるため極力無駄にせず、効率よく物事を進めるに越したことはない。だが、コスパとタイパではそもそも意味合いが違うのだ。費用対効果を高める事でできるだけコストを抑えることができれば、そこで消費せずに済んだ資源は貯めておいて別の用途に使うことが出来る。しかし時間的効果を高めて時間を節約しても時間は貯めておくことはできない。時間は一定の速さで過ぎ去っていくので、ある用事を効率よく短時間で済ますことが出来たとしても、それによって空いた時間に何をするかが重要になる。

仕事において、1日の勤務時間には限りがある。そしてほとんどのシステムエンジニアはマルチタスクに複数の案件や作業を担当している。5分~10分で済むこともあれば、1時間以上じっくりと考えて成果物を作る作業もある。打ち合わせやレビューなどで30分以上拘束されることもある。そういった作業を限られた時間に終えるには、他の人の知識や経験・能力を上手く使っていかなければならない。自分がすべき作業は直列にせざるを得ないが、任せられる作業を外だしして周りのリソースを上手く使えば、結果的にマルチタスクで仕事が進んでいくし、1日に進められる作業量はグッと多くなる。多くの仕事をこなすことが出来たら、自然と周りや上司から評価され、昇給や昇格に近づいていく。つまり時間対効果を如何に高められるかは、社会人としての能力・評価の重要な指標となる。

だが、私生活においては、タイパを高めて無駄な時間を削ったとしても、そこで確保した時間に一体なにをするのだろうか。例えば外食にいって注文をさっと決めたことで5分早く店を出ることが出来たとして、その5分になにをするのか。少しずつ時間を節約していって、寝る前に1時間の空きができたら、その1時間に本を読んだり勉強したりする、というのか。もちろんそういう人はいる。仕事だけでなく私生活も忙しく、目的意識を持って1分1秒を節約して開けた時間に自己研鑽や趣味の時間に充てることが出来れば、それは生活の質を変えていくし仕事や人生の質も高めてくれるかもしれない。

ではいったいどれだけの人がそこまでの目的意識をもってタイパを追及しているのだろうか。せっかく時間を節約したのに、夜にダラダラとテレビやyoutube、SNSを見る時間が増えるだけではないのか。時間に追われるように無駄を省いたにも関わらず、空いた時間をほとんど無駄なことに使っていては本末転倒だ。それならば食事や買い物、家族との時間の中で、1分1秒を大切に過ごした方がよかったのではないか。

コスパもそうなのだが、タイパを高めるにしてもその目的が重要なのだ。そもそもお金も時間も、それらを消費することの目的と効果を意識できているか、という話だ。時間やお金がかかっていても、それが無駄にならなければよいのだ。そして節約するのならば、より価値のある事のために空いた時間やお金を使うのでなければ、それこそパフォーマンスが悪い、ということになる。

タイパ、コスパを意識すること自体は否定しないが、そこで評価するパフォーマンスが何なのかを、一度立ち止まって考えてみても良いと思う。

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