夏の旅行を賭けにしない

旅行をマネジメント
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毎年我が家はお盆休みに家族旅行に行くことが多い。ホテル代などは高いが学校や塾の夏期講習を考慮するとお盆前後の方が都合が良いし、家族旅行に行けるのは子供たちが学生の間だけだろうから、早割などを利用してできるだけリーズナブルになるよう考慮しつつも、ある程度の支出は致し方がない。

去年は石垣島、そして今年は北海道に行った。いづれも旅行の数日前から毎日天気予報を非常に気にしていた。飛行機は電車以上に台風の影響を受けやすく、空港に台風が直撃すれば飛行機は飛ばない。台風を避けるために時間をずらして別の飛行機に変えようとしても、不慣れなのでどう手続きすればよいか分からないし、そもそもお盆の期間は空席もないだろう。

去年は出発の半月前に発生した台風が沖縄地方に居座り続けたことで、沖縄に行けない、または沖縄から出られない、といった旅行難民が多数発生した。そしてようやく動き出した台風が関西に直撃する、という予報もでたので最悪のケースも覚悟した。だが最終的に台風は中国地方に抜けてくれて、無事に石垣島に旅立つことができた。

今年の北海道旅行の際は台風が関東地方に接近したため、成田発の便に欠航や遅れが発生し、それが帰りの新千歳空港での3時間待ちの一因にもなった。

今年も台風10号が迷走

8月22日(木)にマリアナ諸島で発生した台風10号は、当初は2018年に関西地方に多大な被害を及ぼした台風21号と同じコースをたどって翌週27日(火)には関西に直撃するという予想だった。

だが台風は西に進路を変えて九州に上陸し、九州で2日間停滞したあと近畿地方に接近、そこでも2日間停滞する、という迷走台風になった。29日(金)の夜間から翌朝にかけて関西地方は強い雨に見舞われたが、台風自体はかなり弱っていて暴風域もなくなっていたので、風雨による被害はほとんどなかった。

我が家の夏の家族旅行は無事に終わっていたが、小中学校は8月27日(火)が始業式なので、娘は学校が休みなることを期待してソワソワしていた。そして息子は28日から3泊4日で中学校の勉強合宿に参加する予定があり、当初、27日に関西直撃なら翌日の勉強合宿には影響なさそうだと思っていたのだが、コースが変わって速度も遅くなったことで、残念ながら27日には勉強合宿の中止が発表された。

結局台風が関西に接近したのは週末だったので、小学校は休校になる事はなく、息子も勉強合宿の代わりに毎日学校に通っていた。息子は「勉強合宿に行けたのでは?」と愚痴っていたが、学校としては万が一のことが起きた時の責任はとれないので、この判断は仕方がないだろう。実際、勉強合宿で宿泊するホテル周辺では台風の到着前に激しい集中豪雨に襲われていた。実害は出ていなかったが、停電でエアコンが使えなければ熱中症になるリスクだってあった。被害がでなかったのはラッキーだった、と考えた方が良い。

会社でも、29日(木)から3日間の沖縄旅行を計画していた同僚がいて、去年の私と同様に数日前から天気予報を気にしていた。また、空港が暴風域に入れば飛行機は飛ばないが、飛行ルート上に台風があった場合はどうなるのか、予約している飛行機を変更することができるのかなど、旅行会社に確認していた。最終的にはその人も台風の影響を回避できたようで、週明けには何事もなかったかのようにお土産を配っていた。

天気は運次第、では済まない

私も同僚も、台風が数日ズレていたら旅行をキャンセル、または日程を変更せざるを得なかった。実際、去年も今年も台風によって実際に夏休みの予定が大幅に狂ってしまった人たちの様子がニュースで流れていた。沖縄に比べれば北海道の方が台風のリスクは低いが、今は台風が遠くにあっても線状降水帯が発生して飛行機に遅れが出ることもある。発生した台風が停滞・迷走することもあるし、近海で台風が発生して数日後には日本に直撃するケースだってある。無事に予定通り旅行を楽しめたのは運が良かっただけであり、いつか台風被害の当事者になる可能性は十分にある。飛行機だけでなく、公共交通期間だってあらかじめ計画運休の決断をするケースも増えているし、線状降水帯の発生で新幹線のダイヤが大幅に乱れることもある。子供たちの学校が休みだからといって夏休みに旅行の計画を立てること自体が、リスクになっている。

夏休みに毎日台風が線状降水帯が発生するわけではないから、悪天候による影響を受けて旅行にいけなくなる、または大幅に予定を変更せざるを得なくなったとしても、それは運が悪かった、ということになる。だがそのリスクは年々高くなっているため、リスク回避策としてプランBを準備しておかなければ、せっかくの夏休みが台無しになってしまう。運が悪かった、で片づけてはいけない。少しでも影響を抑えるためにできる事は何か、あらかじめ考えて準備しておきたい。

例えば北海道や沖縄、海外など、飛行機を使う必要があるのなら、夏休みではなくゴールデンウィークや冬休み、春休みに計画すれば、少なくとも台風のリスクは回避できる。東海道新幹線や特急くろしおなどは悪天候やその他のアクシデントで運休や遅延発生する頻度が高いため、目的地に行くための別ルートを調べておけば安心だ。また屋外施設は悪天候によってクローズすることもあるし、猛暑・酷暑による熱中症の危険もあることから、できるだけ避暑地や屋内施設で過ごす方が良いだろう。少なくとも何かあった場合に複数の選択肢を用意しておきたい。

リスク管理をして旅行を楽しもう

効率を意識してみっちりと予定を詰め込んだ旅行計画は、タイムスケジュールを意識しすぎて旅行自体を楽しめない、という弊害が生じる。ちょっとしたアクシデントは旅行にはつきもので、そういった状況こそ後々でよい思い出になることも多い。だが、旅行自体が無くなってしまうと、夏休みに対するモチベーションや家族の一体感醸成にも影響がでるし、子供が大きくなれば一家そろって家族旅行に行くことも難しくなる。

これからの旅行、とくに夏の旅行はあらかじめ最低限の目的をきめておいて、それを達成、または少しでもその目的に近づけるように計画し、準備しておくことが求められる。プランBがあれば旅行前の不安感も軽減するし、なにかことが起こってもアタフタせずに、アクシデントをイベントとして楽しむこともできる。すべてのアクシデントに供える事はできないが、致命的なリスクは事前に洗い出して、備えておくべきだろう。

リスク管理はプロジェクト管理の基本であり、より良い人生を過ごすうえにも応用できる。悪天候のリスクは年々高まっており、いつまでも無防備でいてはいけない。天にすべてを任せてはいけない。もちろん天候はコントロールできないが、コントロールできる範囲でより良い家族旅行を計画しよう。

夏の旅行は賭けではない。運を天(天候)に任せてはいけない。

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