落ち着かない年末年始を過ごすわけ

人生をマネジメント
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年末はよほど特別な理由がなければシステムに手を入れないので、部長席含めて早めに長期休暇を取る人が多く、会議の多くがスキップするので自分の時間を多く確保できる。私も溜まっていた雑用をかたずけ足り、年明けのタスクを整理したり、今年1年の振り返りを行って過ごしていた。またグループ内の別チームが進めてきたプロジェクトが12月で終了するため、1月からはそのプロジェクトメンバが私のチームに合流することで、各メンバの役割分担の見直しを行う必要もあった。そういった未来のためのタスクを中心に時間を費やして今年最後の1週間を過ごしていた。

だが、突如グループ長から打ち合わせがしたいと言われて状況が変わる。初めは1月からの体制についての話だと思っていたのだが、部屋に入ってグループ長の第一声は

「〇〇さん(私)への帰任のオファーがあった」

というものだった。

気付けば2019年1月から事業会社に出向し四年経った。よくあるケースだとグループ企業内の出向期間は2年間、もしくは案件やプロジェクトの都合にもよっては3年間だ。だがそれはステップアップのための出向であり、2~3年出向して経験を積み人脈を形成できたら帰任し、そのあと役職があがったりする。最近であれば若手の登竜門のような意味合いもある。だが私はそのラインからは外れていて、前の出向は6年間以上だった。そのため今回の出向についても明確な期限は明示されておらず、自分でもあまり強くは意識していなかった。

今も、そして以前の出向も同様だが、グループ会社であっても領域が異なれば、働く上での目線、事業目的が異なるし、人間関係を新たに構築するにも時間がかかる。そのためしばらくは与えられたタスクをこなし、新しい出会いや経験を重ねつつ、様々なことを学んでいく。そして2~3年経つとその会社で働く上での土台が形成され、段取りや手続きだけでなく自部署・他部署のキーマンが分かってくるため、新しい仕事であっても進め方に困る事はほとんどなくなる。また、出向先での自身のポジションが上がり、影響力や権限も増えていくことで、徐々にアウトプットが増えていく。

私の場合、前回の出向でも4年目あたりからはチームやグループ、部の運営や人材育成にも携わり、部の顔として案件を担当することも増えてきた。そして今回の出向においても、3年間でインプット期間がほぼ終了し、昨年はようやく作業者ではなく管理者・指導者としての立ち居振る舞いが出来るようになった。自分ひとりではなく、チームやグループのメンバを活かすことで、より質・量ともに高いアウトプットを出していく期間に入った、と思っていた。その矢先での「帰任のオファー」だったので、全く考えていなかったわけではないが、すぐに状況を理解することが出来なかった。

まだ帰任の詳細は明らかになってはいないが、年末年始の休暇が明けたらより引継を意識したチーム運営にシフトチェンジしなければならない。

帰任の理由と今後を想像してみる

現時点では出向元に呼び戻される理由は分からない。オファーがあった、という出向先からの情報だけしかなく、出向元からの直接の説明はまだなにもない。帰任のタイミングによっては新年早々、なにかのアプローチがあるかもしれない。

私のような一定以上のスキル・経験を有したSEは売り手市場であり、その気になればより好待遇での転職だって可能なご時世だ。人事部としてはそういった中堅どころの流出防止は、あらたな人材獲得以上にセンシティブになっているはずで、それが私の帰任理由の一つであることは間違いないだろう。昨年も20年未満の中堅・若手の中で転職者は少なくはなかったし、私も次のランクに上がらなければ昇給されない、という不平不満を訴え続けている。

では実際、帰任してなにをするのだろうか。

(1)運用会社への再出向?

前の出向先だった運用会社で来年度に大きな組織変更があり、新たに組成する組織の中心的な人材が不足している、という情報を耳にした。そして私が新人だったころにお世話になった当時の部長が、今は役員となってそのプロジェクトを進めている。当時からかなり厳しい上司であり、今でも一緒に仕事をするとなると身構えてしまうが、間違いなく今の私を育ててくれた恩師の一人だ。10年以上前だが初めてPMを務めた大規模プロジェクトにて「ヒーローが生まれた」とまで評価してもらったことは未だによく覚えている。ここ数年は直接の接点がなかったものの、私が事業会社に出向していることは耳に入っていて、また事業会社と運用会社双方で出向を経験している私は、新しい組織にとって適当なピースになるかもしれない。

一つの可能性として考えられるのは、そのプロジェクトにアサインされるための帰任だ。

だが出向がランクアップの妨げになっている場合、自社への帰任後そのまま運用会社に再出向すると今後ますます昇給は見込めない。私としては自身の成長と周りへの貢献・評価がなによりのモチベーションではあるが、これから先もずっと成果を残しても昇給できない状況が続いた場合でもモチベーションを高く維持できるかどうか分からない。

出向元が私をどう評価しているか、私がどういった振る舞いをすると考えているかにもよるが、一定期間自社に戻って半年~1年間なにかの業務をしたあと、ランクアップしてから再出向する、という可能性もなくはないだろう。ただその期間の猶予すらないのならば、あわよくば再出向しつつも特例的にランクアップできることが望ましい。

(2)大阪勤務のパターン

次の可能性としては、具体的なミッションはないものの、出向して4年も経つからとりあえず帰任させる、というパターンだ。東京の部署の方が仕事や案件は多いが、大阪でも人手は足りていない。多くのパートナーを率いて案件を回せる人材が増えて困ることはない。そこで私の働きや能力を改めて評価し、適当であればランクアップすることもできるかもしれない。

出向元にとってはリスクが少なく、20年戦士であることを除けば出向者にとってはよくあるケースだ。またずっと大阪で勤務しているので、大阪の部署に帰任させるのであれば私は「No」とは言わない、という人事部の計算もあるだろう。以前よりはずいぶん減ったものの大阪の部署であればまだ知り合いは多く、戻りやすいという配慮もある。

だが正直、運用会社から事業会社に出向して10年以上開発の現場から遠ざかっているので、今更開発はないだろう、という思いもある。出向での経験を活かすことはできたとしてもそれはただの足し算であり、経験を掛け算にしてさらに私の付加価値を上げること、そして高いパフォーマンスを発揮しようとすれば、ベストな帰任先は開発部隊ではない。

また事業会社の立場でみていた限りでは、大阪の開発部隊はパッとしないし面白くもなさそうなので、正直なところ一番モチベーションが上がずできる限り避けたい選択肢だ。

(3)東京転勤のパターン

私の出向元は10年前に東京集中の動きがあり、それ以来主だったプロジェクトや重要な案件は東京が中心になった。部署も人の数も多いので、事業会社の立場で関わりのあった部署は限定的であり大半の案件は良く分からない。そのため今の私のキャリアにフィットした部署や役職があるかもしれないし、長かった出向から帰任する際には、逆に知った顔がいない方が変な遠慮がなくて働きやすい、という考えもある。

また、コロナ禍以降は在宅勤務の環境が整えられており、一般的に出社の流れが戻りつつある現状においても7割程度の在宅勤務率を維持している。昨年に人事制度が変わり、勤務地と居住地が同じ地域である必要もなくなった。例えば私が大阪で住み続けながら東京の部署に転勤する、ということも、制度上は可能となっている。職種や役職でもそういった勤務形態が成立するのか実態や実績は分からないが、可能性としてはあり得なくはない。今更社員に単身赴任を伴う東京転勤を強いるのは、会社にとっても人材流出のリスクを負うことになる。

もし東京転勤をともなう出向帰任となった際は、おそらく居住地を変えない、という選択肢も呈示されるだろう。ただその場合、ランクアップしずらい状況は変わらないのかもしれない。

(4)それ以外の可能性

運用会社でも東阪の開発部署でもない、という可能性もある。10年以上にも及ぶ出向耐性を見込まれて別グループ会社へ再出向するケースはあり得る。再出向でもランクアップし昇給できるのなら別会社に再出向してもかまわない。それ自体が良い経験になるし環境が変わることは確実に自身の成長に繋がる。出向がさらに続けくことで今後役職につく可能性はほぼなくなるだろうが、新しい事へのチャレンジは刺激にもなるし会社人としてだけではなく一人の人間としての幅が広がり、退職後の人生への糧にもなる。

ただその代わり、ますます出向元への愛社精神や思い入れは希薄になっていくので、子育てが一段落した時点で脱サラする未来も訪れるかもしれない。今のところそこまでは考えていないが、一つの分岐点にはなるだろう。

または出向元に帰任するが開発とは異なる部署、例えば品質や企画はどうか。役職者であれば開発とは別部署を経験し人脈を作ることは、そのあとのキャリア形成にも役に立つ。実際、開発部署の部長がグループ会社に出向後、開発部著とは別部署の部長として帰任し、再び開発部署の本部長や役員になるケースはある。ただ私は一般社員なので、余程なにかの力が働いたり特別なプロジェクトが立ち上がるのでなければ、この線は薄いだろう。

求められての帰任であってほしい

4年間も出向していて今の出向先に思い入れがあるし、これから人材育成やチーム運営に舵を切ろうとした矢先の帰任には少なからず抵抗感がある。だが、この4年間である程度やりきった感はあり、この経験を活かすべき場所を求めていることもまた事実だ。帰任の話を聞いた際は少なからず高揚もした。

だからこそ、4年も出向しているからそろそろ戻さないといけない、という義務感やルールに従った帰任であってほしくない。私でないとダメだという理由があってほしい。今までの出向経験を活かすことが出来き、新たな場所で掛け算的に成果を出せる場所ならなおさら言うことなしだが、そこまでは望まない。戻った先でこれまでの経験をどう生かすかは私次第であることも分かっている。だが少なくともそのとっかかりとなる環境や立場、ミッションがあってほしいと切に願う。

出向した先で自分のミッションを自己設定しても、そのミッションをクリアして得られるものは自身の成長だけだ。毎年の成果を出向元にアピールするためには、そのミッションが出向元にとってどんな意味があり、自分が成果を出したことでどういったメリットがあるかを説明し直さなければならない。モチベーションのコントロールまで自分自身でやり続けた10年間だった。そんな10年間はそろそろ終わりにしたいのだ。

いつどのタイミングで帰任の内容が具体的になるか分からないが、さて私の想像した選択肢の中に答えはあるだろうか。遅くとも今年度中には何か動きはあるだろうから、それまではしばらくドキドキの日々が続く。。。

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