マイナンバーカードの自主返納に思うこと

政治と経済をマネジメント
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マイナンバーカードへの不信感が高まるなかで、自主返納をする人が増えているという。

誤って他人の情報が紐づけされる、ということはあってはならない。それはなにより、本来の目的で使用できないからだ。現時点で保険証や運転免許証に置き換わっていくことが予定されており、また今後更なる利用拡大が見込まれる中で、他人の情報が紐づけられていたらいざという時に使用できない、ということが起こり得る。少なくはない量で誤登録があったのであれば、時間と手間をかけてでも点検することは致し方ない。

マイナポイントという、決して少なくはないポイントが貰えるという宣伝効果もあって、締め切り間際には一気に各役所にマイナカードの取得希望者が押し寄せた。実際にあの混乱状況を見ていれば、今回のような事態が起きても不思議はない。ポイント付与の部分だけでなく、登録手続きを効率的にかつ確実に行えるようにあらかじめ運用を十分な検討ができていなかったことは残念だ。

ただ、それでマイナンバーカードが廃止されることにはならない。対策前進しつつ、ますます利用が拡大していくことは目に見えている。今は不安や不満をもっていても、あと数年すれば保険証はマイナンバーカードに完全に置き換わるだろう。そうなれば、マイナンバーカードを携帯することが普通になって、そして用途も拡大していくに違いない。

それは、日本の少子高齢化が加速する中で様々な働き手が今後さらに不足していくからだ。公共機関や自治体も同じで、様々な手続きをバラバラに管理、処理するための職員を適切に配置し続けることは難しくなるだろう。そのため出来る限り手続きを統合し、管理・運用にかかる労力や時間、コストを削減していかなければ、行政サービスを維持できなくなる。

そのことは国民が各々で理解しなければいけない。不満はあっても前進していかなければ、取り残されて不利益をこうむるのは我々自身だ。政府も表向きは、マイナンバーカードを持たなくても困らないよう措置を講ずる、とは言っている。だがそれもいつか限界を迎えるし、暗に「ついてこれなければ置いていく」といった方向に進んでいくのは間違いない。

その時、マイナンバーカードを返納してしまっていると、ますます取り残される。再取得はかなり手間がかかるので、返納するという決断の前に、そういったデメリットや逆のリスクを認識しておかなければならない。本当に不安なら、政府・自治体による再点検を待つのではなく、マイナポータルで自分で自分の情報を確認すればいい。それだけで今の不安は簡単に払しょくすることが出来るし、実際にマイナンバーカードを使用する際に困ることもなくなるだろう。

そういった自己防衛措置も取らずにただ文句をいって、不安だから返納する、といった安直な行動にでる人たちは、マイナンバーカードがないと困る状況になったらまた国や行政に対して不満や文句を言うのだ。

私たちのための制度、仕組みでもある。利用者がそれを自覚し、積極的な行動をとっていくことで、様々なことがより良く変わっていくし、自らも順応していかなければならない。立ち止まっているだけでは何も変わらない。行政が手厚くサービスをしてくれる時代の終焉が近づいていることを、見て見ぬふりをしてはいけない。

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