新NISAは出口戦略を決めておく

お金をマネジメント
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最近オーディオブックで読んだ本。

億り人とは億単位の資産を築いた投資家のことを指す。またFIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、「経済的な自立」により「早期リタイア」をした状態を意味する。

この本の著者は紆余曲折を得てFIREを達成し、その経験やノウハウ、また様々な事例が一冊の本にまとめられている。

人は誰もが楽しく幸せな日々を過ごしたいと思っている。だが日々の生活費を稼ぐことが目的となり、人生を楽しめないのでは本末転倒だ。お金はあくまで手段の一つであり、お金を稼ぐことは決してゴールではない。そのため人生を切り売りするような働き方をしていては、自分の人生を歩んでいるとは言えない。お金に振り回され、縛られている。そういった状況から脱して「経済的に自立」すれば、自分の人生を好きなように生きることが出来る。

ただし人生は短いようで長いし、仕事はなにもお金だけを得る手段と言うだけでもない。社会に属し、誰かのために何かを為すことで自己実現・承認欲求を満たすことが出来る。その結果・成果として収入を得ることで、日々が充実するという側面もある。

もちろん旅行や娯楽に人生の大半の時間を費やして満足する人もいるし、築いた資産を寄付・投資することで欲求を満たす人もいる。生き方は様々なので、この本に書かれていることを実行し実現できたとしても、億り人になればそれだけで幸せな人生が送れる、と言うわけではない。

著者と私とでは人生観が大きく違うため、読んで(聴いて)いて終始違和感を感じていた。だが資産構築においては様々な気付き・学びを与えてくれた一冊でもある。

借金の良し悪しや法人化による免税、様々な資産構築の手段については、納得できる部分はありながらも今すぐ自分で実践しようという気にはならない。だが元本が減るリスクがあればそれは投機・ギャンブルに近く、それは株や投資信託で売買益を得ることも同様だ、という点については、私のNISAの運用方針に見直しの余地がある。

出口戦略を考える

新NISAは、株や投資信託の売却益や配当収入が免税される制度であり、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は240万円、という上限がある。それぞれの上限額は毎年1月にリセットされるが、合計でも1,800万円(積み立て投資は1,200万、成長投資は600万)までしが免税されない。

私は新NISAが始まってから、つみたて投資枠は世界株式ファンド(基本的に分配金なし)を中心にしたいくつかの投資信託を毎月10万円ずつ年間120万円まで積み立てることにしていた。そして成長投資枠では、株主優待狙いで各社の株を売買する方針だった。中長期的に分散投資をしておけば今後株価が下落したとしても安い買い付け単価でたくさんの口数が買えるため、結果的に平均買い付け単価が下がって利益が出やすくなっていく、いわゆるドルコスト平均法、というやつだ。

そして今年度も続く世界的な株高を背景に、つみたて投資枠の投資信託はどれも順調に価格が上昇している。だが、今どれだけ投資信託の価格が上昇していても、売却するその時まで利益は確定しない。では私はいつこの投資信託を売るのだろうか。そして何のために?そもそも私がNISAで積み立てをしている目的は何だろうか。そう、なんとなく新NISAの枠を使い切ろうと投資額を増やしてみたはいいものの、私にはNISAについての出口戦略がなかったのだ。

これから20年後、退職して年金がいくらもらえるか分からない、という漠然とした不安はある。だが、いざまとまったお金が必要な時に限って積み立てた投信信託の価格が購入時にまで下がっていたら、それはただ銀行にお金を預けていたのと同じことだ。最悪、購入額を下回ってる可能性だってある。今価格が上がっているからと言っても、20年先もずっと上がり続ける保証なんてどこにもないし、そう考える方が違和感がある。上がるかもしれないと思って持ち続けるばかりでは売り時を逃すことになりかねず、一定期間を経過したら売却するかどうかを判断するため自己ルール、出口戦略が必要なのだ。だがこれはギャンブルや投機の考え方に近いのではないか。ギャンブルで長期的な資産構築を目指していては、果たして安定的資産を築くことができるのだろうか。

インカムゲインを増やしていこう

オルカン(全世界株式オールカントリー:アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど全世界(約50ヶ国)の企業にまとめて分散投資できる投資信託)やS&P500(アメリカを代表するトップ企業500銘柄)に注目が集まっているが、安定した資産構築のためにはキャピタルゲイン(売買益)ではなく、インカムゲイン(配当益)を積み重ねていくべきなのだ。

配当は高くても5%程度なので、現在の株価の上昇率と比べれば微々たるものに見えるかもしれない。だがNISA枠の1,800万円まで使い切れば、毎年90万円の配当収入が非課税となる。その分をNISA枠外でさらに投資に回していけば、20%課税されたとしても複利効果で20年後には配当収入が年間200万円をこえる。これだけあれば立派な副収入であり、つみたて投資枠の出口はここなのだ。

配当収入を狙うからと言って、配当の高い個別銘柄を選んで組み替えていくのは手間もかかるし、素人判断を繰り返すとリスクも高い。それならば日経平均株価採用銘柄から予想配当利回りの上位30銘柄を選定した投資信託「日経平均高配当利回り株ファンド」を買えばよい。これならつみたて投資枠で年間120万円まで購入できるし、成長投資枠でも買える。2023年のは予想配当率は4.2%で信託報酬もわずか0.7%未満だ。

ということで私は早速、つみたて投資枠の毎月10万円分の購入対象を変更した。だがクレジットカード払いによる積み立ては毎月12日までに設定すれば翌月から購入開始、12日を過ぎればもう1か月先延ばしとなるためクレカ払いであれば9月購入分からしか切り替えできない。積み立て投資は毎月10万円が上限であり、後から追加することはできないため、仕方なく8月購入分は2日に楽天証券口座からの支払いにすることにした。そのあとすぐに9月購入分からクレカ払いに切り替えればいい。

そして元々つみたて投資枠で購入していた世界株式ファンドは、楽天キャッシュで毎月5万円ずつ成長投資枠で積み立てを継続することにした。だがこちらも翌月の積み立て設定は毎月12日が期限になる。ちょうど今年の成長投資枠があと40万円ちょっと残っているため、7月17日と8月2日に楽天証券口座からの支払いで10万円ずつ購入し、9月からは楽天キャッシュで5万円ずつ積み立てる設定にする。

これらの投資戦略の見直しによって、今後は毎年180万円(今年は60万+40万=100万円)をNISA枠を使って投資信託で積み立てを行うことになった。10年後はつみたて投資枠が1,200万円、成長投資枠が600万円と新NISA枠の上限に達する見込みだが、つみたて投資枠だけなら1,800万円が上限なので、遅くともこのタイミングで成長投資枠の投資信託の売却が始まる。世界全体の経済動向によっては前倒しの売却もありだが、素人判断は難しいので売却も少しずつ分散していけばよいかもしれない。

株主優待も楽しみたい、だがNISA枠である必要はない

株主優待のある株は配当が著しく低い。だがそれでも株主優待が家族で外食に行くきっかけとなったり、また個々の会社の業績やサービスを知る良い機会にもなるので、半ば娯楽の一部として配当目的外の個別株投資も継続する。だが配当が低いしすぐに売却するつもりもないのであれば、わざわざNISA枠を使っても免税効果は微々たるものだ。

現時点で200万円近く成長投資枠を使ってしまっているので、継続して優待をもらいたければタイミングよくNISA枠外で買い替えをしていこう。

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