答えを写したい気持ちは良く分かる

家庭をマネジメント
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中学受験のためには、小学4,5年生から塾に通い始めるのが一般的だ。もともと勉強する習慣があり、ある程度小学校の授業の内容や漢字などを理解できていれば6年生から始めても間に合わないわけではないが、中学の入試問題は小学校で習うことの応用・発展が多く、また中学校によって入試問題の特色や傾向が違うので、受験する学校にあった対策が必要になる。そのため、高校・大学受験以上に塾に行くことが、合格への近道となる。

それでも、受験をする本人はまだ遊びたい盛りの小学生であり、中学受験の目的はなかなか理解できないし実感も湧かないだろう。私立中学には公立中学にはない何があるというのか。なぜ小学生のうちから毎日何時間も勉強しなければならないのか。高校・大学受験の目的ですらはっきりと定められない子供も多いのに、中学受験はなおさらモチベーションのコントロールが難しい。

それゆえ、出来るだけ早く塾に通い始めて、最初は短い時間で楽しく塾通いを習慣づけ、学年が上がるにつれて授業の回数や宿題の量を増やしていく。そしてオープンキャンパスなどに参加し、私立中学の良さを理解するなど、少しずつ子供の意識を高めていくことは理にかなっている。5~6年生から塾通いを始めた場合、日々の勉強の習慣がない中で週3~4日も塾に通って、また大量の宿題に集中して取り組むことは本人にも親にとってもハードルが高い。

答えを写してしまった娘

そう考えると、1年半前から塾通いを始めた娘は、嫌々ながらも毎日少しずつ宿題をして、週3日間一人で塾に通っているので、4年生として最低限の土台は出来ているのだろう。塾で授業を受けた後、1~2時間残ってできるだけ宿題を片付ければ、家でyoutubeを楽しむ時間が増えるのだということも分かっていて、自主的に計画立てて宿題に取り組めているのは、我が子ながら感心する。

だがまだ10歳の女の子なのだ。やらないといけないと頭では理解していても、楽しく宿題に取り組めるわけではない。塾で宿題をやりきれなければ、家で遊ぶ時間が減ってしまうので、できるだけ早く沢山宿題をやってしまいたいと思うのは自然なことだ。

ある時、久しぶりに娘の算数の宿題ノートをチェックをすると、塾でのテスト直しがやってあった。だがノートに書かれているのは答えのみで、どこにも計算式やひっ算が書かれていない。そして全問正解だ。これは怪しいと思って、嫁がyoutubeを見ている娘を問い詰めると、最初はごまかしていたが最終的には泣きながら、答えを写していただけだと認めた。

塾の授業では毎回かならずテストがある。テストの時間は10分から15分程度で問題も10問程度と、授業で習ったことを理解できているか、覚えているかをチェックするためのものだ。1~2回の授業やその日の分の宿題をやるだけですべて理解できる、というわけではない。考えすぎて時間が足りなくなることも多く、間違った問題のこんいちは、こいこいでわかなですお直しは宿題に課されることになる。この宿題が重要で、習った内容を理解し直し、そこで分からなければもう一度塾の先生や親に確認することで、理解度の定着を図ることが出来る。そのため、ここで答えを写すだけだと、分からない事がそのまま残ってしまうので、類似の問題がますます分からなくなる。その結果、模試でも成果が出ず、最終的には中学入試の結果にもつながっていく。

だから娘には何度も話していた。テストが悪くても模試が悪くても別に良いのだ。もちろん点数が高い方が良いが、テストはあくまで理解度を測るための指標であり、そこで理解できていない・忘れていることに気づいたら、そこを重点的に勉強していけばよいだけだ。それを繰り返すことが、中学受験の絶対的な近道なのだ、と。娘もそれは理解できているだろう。そして先日私立中学のオープンキャンパスに参加したことで中学受験を少し身近になり、モチベーションも上がってきた。それでも、答えを写して宿題を早く終わらせたい、という欲求には勝てないのだ。新しい単元や難しい問題であれば、理解が足らずに考えても解けないので、それもまたストレスになって安易な逃げに走ってしまったのだろう。

誰もが通る道なので叱ってはいけない

そういえば長男の中学受験の際も、4年生のころに同じように答えを丸写しして宿題を提出していたことを思い出した。自立心を養わせようと、自分の部屋で一人で勉強をさせるようにした矢先、今回のように全問正解の宿題ノートを発見した。

あの頃は私も嫁も、子供の初めての中学受験に戸惑いや不安があり、勉強のさせ方について言い争ったりもして、家庭内にピリピリとした雰囲気が漂っていた。イライラが募った矢先に息子のノートを発見したものだから、「信頼して一人で勉強を任せているのに、信頼を裏切ったのは良くない事だ」などと言って、つい息子を強く叱ってしまった。

今を思えば、まったく息子に寄り添っていなかった酷い言葉だ。頑張ろうとしている子供に自分の価値観を押し付けてしまうなど、中学受験をしようとする子供を持つ親として失格だ。4年生の子供と、アラフォーの親とでは経験値も考え方も大きく異なるのだから、親としてしなければいけないことは感情に任せて叱る事ではなく、子供の気持ちをまず理解すること、そして一緒に頑張る事だ。

基本的には勉強は一人でやる方が効率がよい。もちろん分からないところを先生に質問したり、友人と教え合うことはあっても良いが、漢字を覚えたり、計算スピードを上げるには黙々と繰り返し書いたり問題を解く時間が必要だ。だが、受験が自分自身の目標となり、自分の意志で勉強ができるようになる前の段階では、親も子供と一緒に頑張ることがなにより求められる。それはテストの点数に一喜一憂したり、「勉強しなさい」と怒鳴り散らすことではない。

子供が机に向かっている横で大声で話したり、テレビやゲームをして気を散らさない。分からない問題があれば一緒に考える。解き終わったら丸つけをして、間違った問題も一緒にお直しをする。子供のやる気がでないときは根気よく励ます。時にはご褒美を用意してモチベーションを高める。子供に家庭内で孤独感、疎外感を与えてはいけない。そして問題が解けるようになったり、その日の宿題が終われば褒めてあげよう。そういった日々の中で、自主性を高めて勉強のペースが出来ていくのだ。

一人で勉強できる、塾で宿題を終わらせてきた、と子供が言うと、親としては手がかからずに楽が出来る。だが、4年生や塾に通い始めたばかりで、自己の欲求をコントロールしてメリハリつけて勉強できる子供なんていないと思った方が良い。そこは子供に甘えず、自分も甘やかすことはせず、ちゃんと日々の頑張りに寄り添ってあげなければならない。

娘のその後

答えを写したことが発覚してから、丸つけや、お直しのチェックはできるだけ私と嫁が分担し、主に私が国語と漢字を、嫁が算数を担当することで、娘と一緒に宿題に取り組む時間を増やすようにした。

娘も「自分で解くこと、間違えた問題を分かるまで解き直すこと」の大切さをあらためて認識したようだ。叱られたことでショックを受けてモチベーションが下がる事を危惧していたが、今のところは良い方向に向かっている。

まだまだ娘の中学受験は始まったばかりで油断はできないが、誰もが通るハードルを確実に一つ越えることが出来たかな、と思う。あとは成績がついてくるだけだ。

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