前を向いていこう

感情をマネジメント
スポンサーリンク
スポンサーリンク

「前向きかどうか」は私にとっての重要な判断基準だ。物事を前に進めるための行動であれば拾いに行くし、そうでなければ前に進むにはどうするかを考える。

ある人に聞いた話だ。部長がメールで急ぎの作業をAさんに依頼した。本来はBさん(Aさんの上司)の担当作業なのだがBさんが多忙ですぐに対応が難しそうだったのでAさんに頼んだ。その作業はAさんでも対応可能な内容で、難しい部分はフォローする旨も文面に記載した。しかし部長からのメールをみてAさんはバシッ机をたたき、部長に断りの返信をした。その作業をAさんが実施する理由がないことが丁寧な文面で書かれていたらしい。部長は在宅勤務だったのでAさんの様子は見ていないが、その時のAさんの様子を後から聞いて、いろいろとがっかりししていた。

「俺とAさんは前の部署でも一緒に仕事して、一緒に苦労してきた仲なんだ。Aさんの面倒も見てきたし、いろいろとフォローもしてきた。言い方は悪いがあいつは俺に借りがある。それにあいつの能力はわかっている、本来の担当範囲でなくてもあれくらいの作業ならさくっとできるはずだ。それなのに・・・」

この時のAさんの行動は二つの点で、前向きではない。

1.机をたたくことの意味

在宅勤務で周りに誰もいないならまだしも、オフィスではいつ誰が見ているか分からない。そんな状況で通常やらないことをすれば当然目立つ。まっとうな社会人であればオフィスでカッとなって感情を表に出しても良いことがほとんどないことはわかる。でもおそらくAさんは、普段も感情をすぐに表に出したり、モノや人にあたったりするタイプで、その日も自然と机を叩いてしまったのだろう。

ここで机を叩いたらどんな影響があるのか。Aさんはストレスが発散できて少し冷静になれる、というメリットがあるかもしれないが、周りはどう思うだろう。「短気な人」「イライラしている」「話しかけたくない」など、少なくとも良い印象は持たれない。多くの仕事がコミュニケーションで成り立っているので、周りに悪い印象を与えると人間関係が悪い影響を与え、仕事の進みも悪くする。

つまり人前で一時の感情に流されて机を叩く、という行為は自己中心的で前向きではない。

人は誰でもストレスを感じるし、ストレスをためるのは良くないので発散する行動が悪いわけではない。ただ社会人、会社人である以上は自分の行動が周りにもたらす影響を考える冷静さを持っていたい。いわゆるアンガーマネジメントだ。怒りを感じたら6秒待ってから行動するだけでいい。今ここで机を叩くと何が起こるのか、何の意味があるのかをその6秒間で考えるべきだ。

2.部長からの依頼を断ることの意味

部長はそれ相応の影響力を持っていることをまず理解する。会社という組織にいる以上は上下関係はいろいろな前提になるし、できるだけこの関係性を活用したほうがうまく事が運ぶ。上司には媚びへつらえ、ということではない。役職や上下関係と人としての優劣は別の話だ。部長だから偉い、ということでもない。役職には役職に応じた役割と責任があり、役割を果たし責任を全うできると評価されたことで、それ相応の報酬をもらっている。

そんな部長からの依頼を断るのであれば、覚悟が必要だ。部長はAさんに期待して作業を依頼している。期待に応えればAさんの評価は上がるし部長との関係も良くなる。次の仕事がやりやすくなって、昇給・昇格に繋がるかもしれない。しかし依頼を断ると、部長ががっかりした時点で評価が下がる。もちろん安請け合いをしてはいけない。できない事を引き受けてその結果失敗すれば「できないなら初めから言えよ」となって、依頼を断るよりも評価が悪くなることもある。また、断るのであればその理由は部長にとって納得のいくものでないといけない。

つまり、引き受けるにしても断るにしても、自分の行動が部長の期待値に対してが前向きかどうかを判断しなければならない。少なくとも部長には、Aさんが前向きであることが伝わる回答が必要だ。

一昔前なら、誰からの依頼を断りたければ「Yes,but~(わかりました、でも~)」という返しが良いと言われていた。一旦「Yes」と引き受けつつも難しい理由を続けて断る。ただ、結局断るのであればどうやっても相手をがっかりさせてしまうし、できない理由はどうしたって後ろ向きだ。そこで「Yes,and~(わかりました、では~)」という返しをすると、前向きになる。

・わかりました、では別の作業の納期を調整させて頂けますか。
・わかりました、ではここまではできるので、そこから先はBさんにお願いできますか。
・わかりました、では詳細な手順を確認させてください。まず・・・

前向きに行動する姿勢を見せた上で、依頼を任せるかどうかをあらためて部長に判断してもらう。部長を巻き込むことで責任の一端を部長に持ってもらうことになり、部長の影響力が働いて作業が進みやすくなるし、仮に失敗してもAさんだけの責任にはならないので自分を守ることにもつながる。

ただし、こういった返しをするには物事を常に前向きに考えるマインドが必要だ。「できない」ではなく「どうやったらできるのか」。これは日々トレーニングしていくしかないだろう。まずは小さなことでも「No」とは言わないようにする。「Yes,but~」から始めよう。慣れてきたら「Yes,and~」にチャレンジすればいい。

まとめ

前向きであることは気持ちが良いことだ。そして前向きに考えるマインドを持つことは、仕事だけでなく人生を楽しく豊かにしてくれる。

タイトルとURLをコピーしました