
開幕して3か月以上経過した大阪万博、その課題と攻略法の続き。
課題5:事前予約できなかったら楽しめない
入場前にパビリオンやショーを予約するチャンスは合計3回ある。抽選予約が2か月前と7日前の2回、そして3日前の0時から始まる先着予約が1回。それ以外にくら寿司や各パビリオン内のレストランなど、事前予約が可能な飲食店もある。これらの予約を完璧に取ることができればまさに「並ばない万博」が体現できるのだが、開幕して万博に関する報道が増えれば来場者も増えるので予約のハードルは日に日に増していく。そして多くの来場者は思うように事前予約が出来ずに当日を迎える。
しかし、だからといってそれで万博を楽しむことが出来ないかといえば、決してそうではない。
まず、万博会場はとても広く、またパビリオンの数もとても多い。日本館やヘルスケアパビリオンなどの国内パビリオンが4館。NTTやガンダムなどの民間パビリオンが13館。シグネチャーパビリオンが8館、海外パビリオンは50館近くあるほか、コモンズ館という各国がブースに分かれて合同で参加をするエリアが4館あり、参加する国や地域は150以上にもなる。どれだけ効率よく回っても1日で到底回りきれるものではない。
また海外パビリオンの多くは事前予約対象外かつ展示が中心のため所要時間が短く、それゆえに待ち時間も少ない。時間帯によってはほぼ待ち時間なしで入れるところもある。だからといって内容が面白くないかといえばそういうわけでもない。多くの国が威信をかけて、またビジネスチャンスの拡大や観光客の呼び込みを狙ってこの万博に臨んでいる。個人の興味・指向にもよるが、気軽に世界旅行を楽しむチャンスだ。
各パビリオンにはレストランやカフェが併設されており、パビリオンに入らなくても食べ物を購入できるお店も多い。混雑する時間帯を外せばちょっとした休憩時間に各国の食べ物を楽しむこともできるし、パビリオンを回って疲れたらその足でカフェに入って休憩しても良い。普段食べる機会のない外国の料理やスイーツに出会うことが出来る。
さらに万博の一番の見どころは大屋根リングだ。高さや柱の太さは圧巻で、訪れた人の誰もが想像以上の迫力に驚く。1周2キロを完走するだけでそれなりに時間がかかるし各国のパビリオンや万博会場全体を観察していたら1時間では足りない。リングの上から見た万博会場の光景は素晴らしく、また夜は美しい夜景に変わる。また想像以上に横幅が広いのでゆったりと歩くことが出来るし、リングの上は庭園になっているので自然散策が楽しめる。ナイトショーを上から見ても良いし、その後のドローンショーや、日によっては花火も上がる。ただしこれから暑くなってくるのでリングに上がるのは午前中や日が沈んだ後の方がよいだろう。
それ以外にも万博会場内にはポケモンの像が沢山立っていたり、各パビリオンを回ってスタンプラリーができる。真新しい先進的・近未来的な建物は夜になればライトアップされる。パビリオン前や広場ではショーやイベントもある。パビリオンに入らなくても楽しむ要素は盛りだくさんあり、これらは未だ十分には報道されていない。
むしろあまりに楽しむ要素が多すぎるためどこから楽しめばよいか迷ってしまう。それゆえ先行予約や当日予約で1~2個のパビリオンが予約できていれば目的が絞りこめて1日の予定が立てやすくなる。予約とはその程度だと考えても良い。
とはいえせっかくなので有名どころも回りたい、というのであれば朝9時に入場して入場してすぐに並びに行けばよい。きっと30分も待つことなく望んだパビリオンに入れるだろう。その間に当日予約を申し込めば、その後はあまり悩むこともなく流れに乗って万博での一日を過ごすことができる。
課題6:どこも待ち時間が長い
入場ゲートや予約の出来ないアメリカ館、フランス館前の行列が連日放送されている。くら寿司など、当日の整理券を受け取るためにも長蛇の列ができている。
だが入場ゲートはスムーズに通過できるので実際の待ち時間は短いし、ほとんどのパビリオンはそこまで待つ必要はない。事前予約が取れていれば予約時間前に行けばすぐに入れるし、タイミングが良ければ予約なしでも30分も待たずに済むこともある。朝イチで入場し、ランチや夕食の時間を1時間程度ずらすだけでずいぶんとストレスがなくなるし待ち疲れも回避できる。長時間並んでまで入りたいパビリオンがあれば並んでも良いが、そればかり一日が終わってしまってはもったいない。回れる数には限りがあるので並ぶパビリオンを絞って予定を立てるべきだろう。
1日10万~15万人が訪れるイベントであり、いくら見どころが多いからと言って待ち時間がゼロになるわけではない。USJやディズニーならば人気アトラクションを体験するのに2~3時間も待たなければならないご時世だ。それに比べれば万博の待ち時間はずっと少ないし、8割以上のパビリオンは30分も待たずに入場できる。当日予約もあるし、空いているパビリオンの情報だって確認できる。人気のパビリオンであっても情報を活用すれば待ち時間はずっと短くなる。通期パスを購入した人たちや遠足・修学旅行で訪れる学生は朝イチや夕方以降は少ないので、その時間帯なら待ち時間なく入場できるパビリオンがかなり多い。
あえて待ち時間の長いパビリオンばかりを見て回るのでなければ『どこも待ち時間が長くて楽しめなかった』ということにはならないはずだ。
課題7:コスパが悪い
ネガティブな情報は特に拡散されやすいので、万博会場はどこも飲食代が高いという印象を持つ人も多いのではないか。たしかに海外パビリオンに併設するレストランで一食をしっかり食べようとするとかなりの額になるが、それは人件費や物価高、および需要と供給を考えれば致し方ないことで、すべてを「ぼったくり」と一括りにしてしまうのは思考停止に他ならない。本場の味を万博会場内で楽しめるのだから、あとはそれにいくら払うかは個人の自由だ。コスパが良かったかどうかはそこで食事をした人がどう思うかであり、一概に万博の食事はコスパが悪いというわけではない。
またキッチンカーやパビリオン併設カフェでテイクアウトすれば、珍しい食べ物をリーズナブルに味わうこともできる。他にも万博内にはコンビニやフードコートもあり、そこでは万博会場の外と同等の値段で販売されている食べ物も多々ある。さらに万博会場への飲食物の持込みは自由であり、かつ随所に無料の冷水補給機が設置してあるため、その気になれば万博内では食事に一切お金をかけない事もできる。
入場料についても、ユニバやディズニーランドと比べれば格安と言っても良い。一日で回れる数に限りがあり、また楽しみ方も千差万別なので、一度行った人は何度も行きたくなる。通期パスは30,000円なので4回行けば元が取れるし、さらに夏休み期間中なら12,000円で何度でも入場可能だ。中で食事をとらないのなら交通費以外はお金がかからない。大阪市内からは地下鉄1~2本、30分程度で会場に行ける。仕事終わりや休日の午後にちょっと万博へ、といった楽しみ方ができる。その気になれば期間中に何度も足を運ぶことも容易い。
万博 | ユニバ | ディズニー | |
1日券(大人) | 7,500円 | 8,900円~11,900円 | 7,900円~10,900円 |
半日券(大人) | 3,700円 | 6,200円~8,300円 ※15:00以降 | 6,500円~8,700円 ※15:00以降 |
コスパは払ったお金に対して満足できたかどうかで決まる。万博という世界的なイベントをどう楽しむか、何を重視するかによって判断は分かれるかもしれないが、少なくとも楽しむ気持ちを持って臨めば、決してコスパが悪く満足できなかった、ということはないと思う。
一部のパビリオンで期待外れの声も聞こえているが、好みもあるし文化の違いもある。それも含めての万博博覧会だ。建築の遅れやルール整備が間に合っていないパビリオンもあるが、開幕当日にすべてきっちりと完成するのは世界的に見て決してあたりまえのことではない。良くも悪くも万博は未だ発展途上であり完成していない。運営面含めてクレームや課題があれば日々改善し、より良くなっていっているので、これから中盤・後半にむけて日々満足度は上がっていくに違いない。
万博自体はきっと閉幕するその日まで真の意味で完成することはないのだ。
課題8:帰りも混雑
夜のショーを見て、終わりまで万博を楽しんでから帰宅しようとすると、21時過ぎから万博の出口に帰宅客が集中する。入場ゲートは数が多いのでそこで渋滞は起きないが、地下鉄の駅に入るまでに長い行列ができることを覚悟していた。そして実際、帰宅客による行列自体は長かった。
だがその行列の動きが止まることはほとんどなく、駅に降りた客はすぐに電車に乗って駅を離れていく。夢洲は地下鉄の発着駅なので、約5分間隔で次々と空の電車がやってくる。前の電車に乗れなくても次を待てばすぐに乗れる。そのため電車の中で寿司詰目状態になる事はなく、一日歩き疲れた体に更なる疲労が増すことなく家路につくことが出来た。
入場も退場も、客を円滑に誘導するノウハウが蓄積され、周知徹底されてきたのだろう。列は長く混雑もするが、ユニバなどのテーマパークに言った時のことを思えば全く苦にはならない。
結論
私が入場した日は祝日ながら前後に比べて入場者が少なかったので、たまたまラッキーだったということもある。またこれから入場者が増えていけば新たな課題もあるだろう。現時点で夏の猛暑にどう対応するか、関係者は日々頭を悩ませて知恵を絞っていることと思う。だが重ねていうが、万博は未完成であり、開幕後もさまざまな課題をクリアし、より良い状態に日々変化・進化していってる。きっと猛暑という課題を克服し、入場者に満足を提供してくれるに違いない。
ちなみに我が家はまた7月に2回目の万博に行くことを計画している。さすがに1回目よりは人も多いので少し作戦を考える必要はある。Thredsには日々新しい情報が流れてくるため、そういった情報を活用しつつ、次は何を楽めるのか考えている。まだ2か月先前予約に申し込んだばかりだが、今からワクワクが止まらない。