日々を幸せに過ごすには「ポジティブ」「前向き」であることが何より重要だ。それはどんな状況であっても、一つでも良かったところを見つけて「運が良い」と考えることで、実際に幸運を引き寄せることが出来るからだ。「最悪だ」と現状を憂くだけでは何も変わらない。前向きにとらえて行動し、前進することで何かが変わる。
北海道旅行でトラブルに見舞われる
8月17日午前中、新千歳空港の国内線ターミナルの店舗ではさみの紛失があり、保安検査の中断・安全確認が行われた。そして前日の台風7号の影響で羽田発の便に遅れが出ていたことも加わって、新千歳空港出発の飛行機が軒並み3時間前後も遅れる事態となった。そして私はこの時、2泊3日の北海道旅行の帰りで家族と共に新千歳空港にいた。
費用とタイミングの兼ね合いで、伊丹直行ではなく新千歳から仙台空港まで行って、そこで伊丹空港行きに乗り換えるANA便を手配していた。新千歳空港の出発時刻は14:55、その30分前には新千歳空港に着いた。この時点でははさみ紛失による混乱は認識しておらず、空港内でもそういった具体的なアナウンスはなかった。保安検査場はどちらも長蛇の列ができていたが、この時点で保安検査は再開していたので少し時間はかかったものの保安検査場は無事に通過できた。
だが搭乗待合エリアにはいると雰囲気が一変した。14:55発のANA便の搭乗手続きを開始する放送があったので搭乗口に急いだのだが、そこでは一つ前の便の搭乗手続きが始まってもいなかった。それどころか午前中に出発予定の便がまだ飛んでおらず、様々な航空会社の便で出発が軒並み遅れている。私が搭乗予定の便は出発予定時刻を過ぎても遅れの原因や事態について案内はなく、搭乗口にある電光掲示板はその前の便の搭乗手続きが遅れて開始するような表示がされたままだ。搭乗口にいた係の人に聞いてみても「私はPEACHなのでANAは分からない」とつれない回答だった。
15:30過ぎ、電光掲示板に14:55発ANA便の出発予定が15:25に変わったと表示されていることに気づいた。すでにその時刻は過ぎていたが、見逃して乗り遅れでもしたらたまらないので、予定の搭乗口近辺に座って次の案内をひたすら待つしかない。なんとか情報を得ようとANAのホームページから運行状況をチェックすると、出発予定時刻は16:20になり搭乗口も変わっていた。空港内のアナウンスは特になく、電光掲示板でもそういった案内はなかった。航空会社のスタッフや空港職員、城郭含めて空港全体が混乱していた。とりあえず私たちは旅行鞄やお土産を担いで人込みをかき分けて搭乗ゲートを移動した。そこではANAの担当者が、2便あとで仙台行きの搭乗手続きを開始予定だ、と案内していた。
大阪に帰れないかもしれない
この時点で、いくつかの便は欠航の案内があった。お盆のUターンラッシュもあってどの便も軒並み満席なので、欠航となると翌日以降の便を確保しなければならない。また、私たちは仙台で伊丹空港行きに乗り継がなければならないが、仙台空港の到着が遅れて伊丹行きが先に出発してしまったらどうなるのだろうかと不安だった。新千歳空港に確認しても、最終的には仙台空港でなければ分からないと言う。仙台に行きさえすれば、時間はかかっても陸路を使えば東京から大阪まで新幹線で帰ることが出来そうだ。だがそのタイムリミットは18時、それまでに仙台空港に到着できず、伊丹空港への航空機の乗り継ぎもできなければ仙台で一泊せざるを得ない。
新千歳から飛行機が飛ばないことで他の空港発の便にも影響が生じており、仙台空港で乗り継ぎ予定の伊丹行きの飛行機も出発が遅延していたことが一縷の望みだった。ひょっとしたら私たちが乗る予定の仙台行きの便がそのまま仙台空港で伊丹行きに変わるのかもしれない。それであれば、新千歳から飛びさえすれば、仙台空港で乗り継ぎができずに仙台で一泊、という事態は避けられる。とはいえこの時点では新千歳から出発できるかどうかも分からない。16:20を過ぎても、搭乗手続きは開始されなかった。
17時前に再び出発予定時刻が18:10に変わった。仙台空港の到着は19:20だ。そしてANAのホームページを見ると、乗り継ぎ便の仙台空港出発予定は19:00となっている。「新千歳の出発が遅れたことで、到着した先での乗り継ぎができなくなっている。詳細は到着先で確認してほしい」というアナウンスもあった。更新が遅れているだけの可能性もあるが、仙台空港付近で今からホテルをとれるのだろうか、最悪空港で一夜を明かすことになるかもしれない、といった不安は募るばかりだ。とにかく仙台行きの便の搭乗手続きが始まり、18:10に新千歳空港を出発することが出来た。
仙台空港に着くと「伊丹空港への乗り継ぎ」予定の乗客にむけた案内があった。やはり今乗ってきた飛行機がそのまま伊丹空港行きに変わるとのことで、ショートカットして搭乗口に案内してもらえた。大幅に遅れたが、その日のうちに大阪に帰れるのだと胸をなでおろした。
仙台空港を19時半ごろに出発し、飛行機は伊丹空港に向かった。だが伊丹空港は21時以降の離発着ができないため、ギリギリで間に合わずに着陸は関空に変更になった。最終的に帰宅したのは23時を回っていた。もともとは18時に帰阪後、義母と合流して晩御飯を食べる予定にしていたが、その日の夕食は空港のコンビニで買ったサンドイッチやおにぎりだった。
リスクに備える
これまで飛行機には数えるほどしか乗っていないが、陸路での旅行も含めてここまでのトラブルは初めてだった。陸路と違って飛行機が飛ぶまでには様々な手続き、段取りがあり、保安検査のやり直しでここまで影響が及ぶのだと改めて学んだ。飛行機は便利ではあるが、それ相応にリスクがある乗り物なのだ。子供たちにとっても、旅行以上に記憶に起こったことだろう。これもまた旅行の醍醐味だ。
このトラブルの最中、情報不足による不安はあったものの私も嫁も終始落ち着いていた。二人とも夏季休暇は18日の日曜日までだったので、仮に17日に帰阪できなくてももう1日余裕があった。いろいろな事情・予定を考慮して15日~17日の旅行を計画し1日分のバッファがあったため、たとえ仙台で1泊したとしても日常生活への影響は最小限に抑えられる。最悪の事態は避けられる、という安心感から、私も嫁も過度にパニックになるようなことはなかった。
飛行機のトラブルだけでなく、特に夏休み期間は台風が旅程に影響を与える可能性も高まっている。そのため旅行を計画する際は、気候変動によるリスクが最小限になるよう留意しなければならない。
前向きな発言で運を呼び込む
最悪の事態が回避できれば、様々なことを前向きに考える余裕が生まれる。起ってしまったことは仕方がない。過去は変えられないのだ。事態を憂うばかりでは気持ちも沈んでいくし、せっかくの家族旅行が台無しになる。それなら良いところを一つでも探して、それを発言して家族間で前向きな気持ちを共有すれば雰囲気も良くなるし、結果的にはそういった気持ちが運を呼び込むことにも繋がる。
具体的な我が家での前向きな発言、考え方は以下の通りだ。
・保安検査場で長蛇の列が出来ていたけど、出発前に無事に通過できてよかった。
・お土産を買う時間が少なかったので、待っている間に六花亭のバターサンドを追加で購入できた。
・北海道でソフトクリームを食べていなかったので、待っている間に搭乗口エリアにソフトクリーム屋で美味しいソフトクリームを食べることが出来た。
・スマホの充電が減っていたが、搭乗口で空いていたコンセントを見つけて充電できた。
・仙台で一泊することになっても余分に下着の替えを持って来ておいてよかった。
・仙台で一泊するなら、何を食べようか。
・欠航になっている便もあるなかで、新千歳を出発できたのでとりあえず前に進めて良かった。
・仙台空港で無事に乗り継ぎが出来て良かった。
・伊丹空港には降りられなかったけど、関空なら帰宅時間が少し遅くなる程度で済む。
・関空からの電車が思ったより空いていて、座って落ち着いておにぎりが食べられた。
ANAから補償を受けられた
さらに今回の大幅な遅延によって、後日ANAから想定外の補償を受けることが出来た。新幹線とは違って飛行機は目的地に客を運ぶことが目的なので、例え到着が数時間遅れたとしても補償・キャッシュバックはないという認識だった。そのためもし新千歳や仙台で一泊することになれば15,000円の補償があったかもしれないが、今回はとりあえず17日中に大阪に帰られたので通常なら補償は受けられない。
ANAのサイトにも補償条件は『到着空港から目的地まで定期公共交通機関が利用できない場合や欠航による翌日への振り替えのために宿泊が必要となった場合など』と記載されている。
だが後日、登録していたメールアドレス宛に、ANAから『補償のお申し込みに関する案内』が届いた。そして案内の通り手続きを進めていくと、今回の遅延による補償対象には新千歳→仙台の便も含まれることが分かった。
(1)新千歳空港→仙台空港便
①運航イレギュラーに伴う諸経費(宿泊費・交通費等) 15,000円
(2)仙台空港→伊丹空港便
①運航イレギュラーに伴う諸経費(宿泊費・交通費等) 2,000円
②飲食費 1,000円
各補償の手続きを4人分、合計12回の振込手続きは面倒くさかったが、ほぼ即時に合計72,000万円が銀行口座に振り込まれた。今回の旅行にかかった宿泊代・航空機のチケット代の3割近くが返ってきたわけだ。
我が家は結果的には新千歳での待ち時間が3時間伸び、それによって義母との夕食が流れて帰宅が23時を過ぎた、という程度の影響しかなかったので、その補償額としては十分すぎる。仮に新千歳→仙台便の補償がなかったとしても致し方ないと思っていたところだ。だが乗客によってはビジネス面での実害などが出た方もいるだろうし、個々の状況・事情によっても実際の被害額は様々だ。それらを個々に調査して補償額を決める、となれば時間も手間もかかることから、一律で最大補償額を支払った、ということなのだろう。ここで対応を間違えるとSNSで叩かれたり、関係ない部分で業績への悪影響を及ぼしかねない。難しい時代なのだ。
前向きさが幸運を引き寄せ、そして幸せになる
新千歳で待っている間は、情報が足りていなかったこともあってとても不安ではあった。だが前もって最低限のリスクに備えていたこと、そしてそこで起きていたことすべてを許容した上で終始前向きな発言・行動を心掛けたことによって、穏やかに出発時間までの時間を過ごすことができた。ここでストレスを感じてギスギスしていたら、せっかくの北海道旅行が台無しになるところだった。
北海道大学や札幌市内の散策、ビール園&ジンギスカン、支笏湖のサイクリング、乗馬だけでなく、空港での予期せぬトラブルまで経験できて、今回の旅行は質量ともに充実したものになった。さらに想定外のキャッシュバックを得られるというおまけつきだ。
あらためて、最悪な状況に陥ったときの前向きさ・ポジティブさが重要かを実感した。落ち込んで悲観的になっても事態は好転しない。結果が変わらないなら立ち止まらず、現状を受け入れてそこから一つでも良いところを探し、前に進めば幸運に出会うチャンスも増えていく。幸運は向こうからやってくることはない。こちらから進んで探しに行かなければならない。それが幸せな人生を歩むために必要なことだ。