人事制度が変わって昇給が復活

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8月に会社の人事制度の変更があり、今まで一つしかなかった給与体系が職種や役割によって3つのルートに分岐した。具体的には「管理職」「専門職」「実務職」といったところか。これまでは裁量労働になったあとの給与ランクは3段階で、2段目にあがるには役職者になる必要があった。だが先日の人事部長との面談でも聞いたように、役職につくには本人の能力だけでなくタイミングも重要で、そのタイミングを逃したことで管理職になれずに給料が頭打ちになっている人は少なくない。

私を含めてそういった従業員からの不満に対処する意味もあったのだろう。「管理職」を「専門職」「実務職」と別ルートとし評価軸を分けたことで、昇給の条件としての「管理職」が無くなった。頭打ちになっていた給与レンジが上に広がったことで、「専門職」や「実務職」のルートはそれぞれの職種に応じた評価軸によって評価され、それまでの成果に応じて昇給の可否が判断されることになる。私は新人事制度では「実務職」となった。

ただし人事制度が変わっても現時点での評価が見直されると言うわけではなく、初年度は評価や給与は昨年度からの横滑りだった。「管理職」という一つの強固な壁がなくなったことは前進ではあるが、新人事制度の評価内容の詳細は未だ公表されていないので、来年度以降に実際に昇給していけるかどうか分からない。天井が高くなっても評価基準が厳しければ昇給のハードルを越えられない可能性だってある。当然のことながら、会社はただ在籍しているだけの社員に無条件で昇給してくれるわけではない。

とはいえ出向者は出向先に評価されることが一番分かりやすい基準なので、今期の目標設定や仕事への取り組み方を変える必要はないだろう。目の前の仕事に真摯に取り組んで成果を出し続けるしかない。

キャリアパスの不安は解消されない

昇給が復活したことで、失いかけていた仕事に対するモチベーションは上がるかもしれない。

1年間の成果を振り返り、自社や出向先、顧客に対する貢献度が評価され、その結果が昇給という形で示される。昇給は評価の証であると同時に自身の成長の証でもある。立ち止まらず努力と研鑽を重ねる日々、そこに評価と成長が加われば、きっと私のモチベーションは高まるだろう。最近の私の仕事に対する不安・不満の一つが解消されるので、今回の人事制度の変更は私にとってプラスとなる。

とはいえ、この先のキャリアパスが不透明であることは変わらない。一年間の目標は立てられる。担当するシステムの開発・保守案件はある程度すでに計画されているので、それらに真摯に取り組んで完遂することが基本だ。またチームメンバを率いる立場であれば、育成や平準化、脱属人化を意識してタスクを割り振り、必要に応じてサポートを行っていく。時にはメンタル面のフォローやメンバ間の意思疎通をはかって全体のパフォーマンスを上げていく。自分ひとりでは到底成し遂げられない成果がチームなら達成できることは楽しいしやりがいもある。だがそういった日々を続けていった先、10年や20年後に果たして何があるのだろうか。

以前の人事制度であれば、目の前に越えられない壁があったとしても一般職の先には管理職という具体的なキャリアパスがあった。また専門職に関してはすでに「スペシャリスト認定」という制度があり、特定の分野で会社から認められ要件を満たせば社内のスペシャリストとして認定され、管理職に近しい処遇が与えられていた。「管理職」にも「専門職」にもキャリアパスがあるのだ。しかし「実務職」ではキャリアパスが描けないままだ。目の前の壁がなくなったと思ったら、突如なだらかな上り坂が現れたような感じだ。その上り坂はずっと先まで続いていてゴールは見えない。

誰もが感じる将来への不安

「管理職」の壁があったときはその壁が不安の理由だと思っていた。だが壁がなくなっても不安はなくならない。壁は目の前の視界を塞いでいたが、壁の向こうには終わりの見えない道が続いてた。進むべき方向が分かっても、その方向に進んだ結果どこにたどり着くのか、自分がどこを目指しているのかが分からない。それが私の不安の正体だった。

ただあらためて考えてみれば、管理職であっても専門職であっても、仕事を続けていった先に何があるのか明確に分かっている人なんてほとんどいないのではないか。

管理職になったとしても、次長→部長→本部長→役員 のようなおぼろげなルートはあるにしても、それこそどこまでそのルートに乗り続けられるかは、能力だけでなくタイミングや人間関係などに影響される。給料が増えるだけでなく責任もまして、相反してプライべーとが犠牲になることもあるだろうから、そういったプレッシャーやワークライフバランスを考えると、昇進し続けることへの欲求も人それぞれだろう。

専門職も、新しい技術や知識を学ぶ意欲・モチベーションを維持して学び・成長を続けることは難しいかもしれない。よほどマニアックな領域でなければ、コアな技術・知識が急にすたれて専門性が薄れることもなく、会社における自身の有用性、価値はある程度続いていく。

ゴールは会社の中にはない

仕事や会社の中で目標やゴールを見つけようとするから、それらが見つからないことに不安を感じるのだ。また、目標やゴールを定めたところで、そのゴールに到達したあとも人生は続いていく。会社の中でのゴールは人生においては中継地の一つでしかない。仕事に全力を注いでも、報われるのはその会社にいる間だけだ。つまりより良い人生を過ごすためには、ゴールは会社の中に探してはいけない。会社や仕事も人生の一部として、人生全体の中で目標設定をすべきだろう。

ただ、人生は仕事よりも長いし、さらに何があるか分からないのだから、具体的過ぎるゴールを定めることは難しいし、あまり意味はない。ここで重要なのは、理念や信条、ポリシーといった概念的なものになってくる。私にとっては「幸せな人生」がそれにあたる。

幸せな人生を送るために、日々の充実や良好な家族関係、自身の健康が重要だ。仕事も含めて、これらをできるだけ充足させていく。そこには目標値も終わりはないから、ゴール設定も必要ない。ただ、それぞれの欲求を満たすためには小さい目標やタスクを設定し、その達成にむけて行動する。小さな目標を達成していくことが、日々の充実感や満足感を満たすことにも繋がる。その瞬間はなにも不安を感じることはない。

長い人生、あまり先を見過ぎても意味はない。自身にとっての人生における理念を定め、それを判断基準として今を生きる事。これが何よりも肝要だ。

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