40代にもなると、毎年の成人病検診でほぼ必ず何かに引っかかる。年を重ねるごとにその項目は増えていき、昨年は6項目も指摘があった。
・眼底・・・視神経乳頭陥凹拡大疑い、網膜変性(通院中)
・心電図・・・陰性T(経過観察)
・血液一般・・・血小板数 基準値以下(経過観察)
・糖尿病検査・・・HbA1C 基準値以上(3ヵ月後再検査)
・血液検査・・・RF値 基準値以上(3ヵ月後再検査)
・腹部超音波検査・・・胆のうポリープ、肝腫瘤(経過観察)
・眼底
数年前に指摘があり、眼科で見てもらったところ緑内障の症状があり一部の視野が欠けている、と診断された。それ以降3~4カ月おきに眼科に通って経過観察中で今後悪化してくると日常生活に支障が出たり服薬・投薬の可能性もあるが、幸いにも今のところ症状は落ち着いている。
・HbA1C
HbA1C はブドウ糖と結合しているヘモグロビンの割合を示しており、この割合が高いということは血糖値が高いことを意味している。基準値は5.5%以下で私は6.1%だった。血糖値そのものは60~99mg/dlが基準値だが、私は99mg/dlだったのでギリギリ基準値に収まっている。近所の内科医で再度血液を調べてもらい、急ぎ何か手を打たないといけないものではない、との診断だったものの、血糖もHbA1cもこの3年間で少しずつ上昇しているのが少し気になるところだ。
検査項目 | 単位 | 参考基準値 | 2023年7月 | 2022年8月 | 2021年8月 |
血糖 | mg/dl | 60~90 | 99 | 97 | 91 |
HbA1c(NGSP) | % | 5.5以下 | 6.1 | 6.0 | 5.8 |
ただし昨年コロナ禍で体重が増加したことを自覚し、2023年5月以降で食生活や体質の改善に取り組み始めたことで、2023年5月をピークに体重は減少傾向にある。最近は少しリバウンド?気味ではあるものの、この1年間の取り組みによって数値は改善するかもしれないので、少し期待している。
・RF値
RF(リウマチ因子)は自己抗体の一つで、関節リウマチの診断に使われる数値らしい。基準値は20IU/ml以下だが私は314もあった。近くの内科で再検査をしても数値は高いままだ。この数値の感度は70%~80%であり、RF値が異常=リウマチと言うわけではない。ただし、もし今後リウマチが発症する可能性があるなら早めに対処するほうがよい。ということで専門病院の紹介状を書いてもらった。何度か専門病院に通い、間隔を開けていろいろな血液検査をしたがRF値以外の異常値は見つからず、自覚症状も特になかったこともあって最終的には経過観察に落ち着いた。この数値は昨年から検査項目に追加されたので過去の傾向は分からず、すっきりしないが現時点で対処しようがない。少なくとも現状は何も困っていないので、とりあえずは様子見だ。
・胆のうポリープ、肝腫瘤
15年近く前になるが、発熱や腹痛、胃もたれが酷く病院で見てもらったところ、胆のうが腫れていて急性胆のう炎の疑いがあると言われ、緊急入院して超音波やCTの検査を行った。昔のことなので若干記憶が曖昧だが、いろいろ調べてもはっきりしたことは分からなかったものの、翌日には体調が回復し、急性胆のう炎の可能性は下がったために退院した。その後人間ドックを受けるようになってからは、超音波検査で「胆のうポリープ、肝腫瘤」の指摘が入り、毎年経過観察となっている。
成人病検診は身体の運行監視
このように、私は成人病検診で要検査の指摘があがれば、必ず再検査を受けている。仕事やプライベートの予定を調整せねばならず、何度も病院に足を運んで数時間拘束されるのは面倒くさいのだが、成人病検査は受ける事がゴールではない。病気になってもできるだけ早く発見して適切に対処すればそれだけ早く回復できるので健康寿命を延ばすことができる。同様に歯科検診にも定期的に通っている。痛みは感じていなくても10年以上前に処置した詰め物が欠けたり摩耗していれば虫歯になるリスクが増えるし、クリーニングをして歯に着いた茶渋を取ってもらうことで、周りにも良い印象を与える。
成人病検診でも歯科検診でも、もちろんなにも指摘されないことが一番だ。だが要検査項目があったらそれはそれで良いことだ。検診を受けていなければ発見が遅れ、生活に支障が出たり命に係わる病気に悪化することもある。それを未然に防ぐことができたのなら喜ぶべきことだ。だからこそ、悪い報告から目をそらしてはいけない。
体が発しているアラートに対して適切に対処をしなければ、検診を受ける意味がない。検査結果にそって行動を起こさないならそれこそ時間の無駄だし、悪い結果に気持ちが沈むだけ精神衛生上も良くない。それならむしろ検診は受けず、結果も気にせずに自由に生きる方がよほど健全だ。
正常性バイアスがかかっている
成人病検診で要検査となっても、ほとんどの場合は即座になにか問題が発生するわけではない。あくまで警告であり、誤検知の可能性だってある。だが、今まで大事に至らなかったからといって今後もその警告を放置してはいけない。加齢に伴って重大な病にかかる可能性は増えていくので、これまでの健康がこの先の健康を保障してくれるわけではないのだ。
システムの運行監視も同じだ。前任者から引継いだシステムについて、運用席から警告メッセージの連絡が来ても放置で良い、と説明があってもそれを鵜呑みにはしてはいけない。警告が出ている以上、なにか問題が起きているのだ。システム運行上は問題がないならそれは過検知・誤検知であり、監視設定の見直しが必要だ。またはユーザによる想定外の操作によって警告がでたのなら、ユーザへの是正依頼や告知をするか、システム的に警告が上がらないような対処をするといった手もある。そういった裏側の挙動を理解してせずに、ただ放置するだけでは初動対応が遅れて重大なトラブルに発展してしまう可能性もある。警告の原因を正しく理解した上で、放置してよいかを自身で判断すべきだ。今まで放置でよかったからといって、今後も盲目的に同じ対応で良いわけではない。
4月後半に成人病検診を受ける予定のメンバがいて、その彼は「要検査になっても再検査をしたことがない」と言っていた。それ自体は自身の判断で自己責任なのだが、彼はシステム運行においてもシステム監視の警告メッセージを放置していた。前任者からの引継ぎが十分ではなく、警告の連絡をうけてもそれが何を意味するか理解できないため「このシステムは警告が出ても放置で良い」と思っていたらしい。
その警告の一つにディスク容量の閾値超過があり、私が気付いてアプリベンダに確認したところログローテーションが正しく機能していないことが判明し、急きょ是正対応を指示した。処理ピーク時には一気にログが肥大化するため、警告の時点で対処しなければ致命的な障害になるところだったが、ギリギリで事なきを得た。
自分の体も担当するシステムも、今まで何事もなかったのだからこれからも大丈夫だろう、と思いたい気持ちは誰もがある。だが過去は未来を保証してはくれない。幸せな人生と、安定したシステム運行を手に入れたいのなら、正常性バイアスは捨てなければならない。そのためには、様々なアラートを放置するのではなく、適切なタイミングで適切に対処する、これに尽きるのだ。