旅行の楽しみの一つが美味しいものを食べることだ。
我が家の子供たち(小学校高学年女子と中学生男子)は今が正に食べ盛りだ。だが好き嫌いが多く、せっかくホテルや旅館で会席料理が出てきても「食べたくない・食べられない」と言い出すことがあり、一丁前に自己主張もしてくるので非常にめんどくさい。本心は残さず全部食べてほしいが、小言を言っても言われてもせっかくの旅行気分が台無しだ。
そのため旅行の時くらいは好きなものを食べたい量だけ食べられるよう、ビュッフェ形式のプランを選ぶことが多い。観光地であればその土地の名産品や新鮮な魚介類を使ったメニューが出ることも多く、ホテルでゆっくり過ごしながら食事を楽しめる。特に娘はデザートにアイスクリームがあるとテンションがあがり、見ているこちらまで嬉しくなる。
私も和洋中といろいろなメニューが並ぶビュッフェは気持ちが盛り上がるし、たくさんの料理を少しずつ楽しめるのはとても嬉しい。ホテル側も人件費がかからないので、総じて費用が抑えられるため満足度が高い。旅行だけでなく、中華バイキングや焼き肉、しゃぶしゃぶチェーン店のオーダーバイキングもコスパが良いので好きだ。だが最近は、このビュッフェ形式の食事が若干悩みの種となっている。
ビュッフェ形式はどうしても食べすぎてしまうのだ。
旅行に行った後は体重が増えていることが多い。旅先ではその土地の名物を積極的に食べたいし、電車の中でお菓子をつまむこともあるため間食が増えるのは致し方ない。そこまでストイックに食事に制限をかけると何のための旅行か分からなくなるので一定量は許容している。だがビュッフェで夕食と朝食に食べたいだけ食べると明らかにカロリーの過剰摂取となり、下手をすると1キロ以上の体重増加に繋がってしまう。また食べすぎにより胃もたれや、朝食を食べすぎて昼食を十分に楽しめない、過食による罪悪感などの弊害も多々ある。
今年の5月から積極的に体重を落とす試みを始めて順調に76キロまで落ちているが、このままあと2~3キロ減らして72キロ台まで行けばコロナ前に戻すことが最終目標なのだ。そうなれば日常生活やテニスで更なるパフォーマンス向上が期待できるし、これから50代が近づく上で余分な脂肪は落としておくに越したことはないだろう。
目標達成と旅行の満足度向上のためにはビュッフェ形式の食事にも計画とマネジメントが必要だ。
1.計画を立てる
マネジメントでまず大事なことは「計画」だ。事前にホームページなどでホテルやお店の推しを確認する。そのホテルならではのメニューやシステムを先に知っておけば当日慌てずに済む。だが事前に調べた情報と実態が異なる事もあるため、あまり綿密な計画は立てなくても良い。大きな方針を決めておく程度で十分だ。
2.下見し、見極める
レストランなどの会場に着きテーブルが決まったらビュッフェの始まりだ。だがすぐに列に並んで順番に目の前の食事を皿に取り始めてるのではなく、現地調査(下見)をしよう。列には並ばず、その横を素通りしてどういったメニューがあるのかを一通りチェックし、混雑具合やその日の体調、一番食べたいものを自ら問うて優先順位をつける。どのメニューも美味しそうだしお腹が減っているので沢山食べたい気持ちになるのだが、雰囲気に流されて順番によそってしまうと、真に望んでいないメニューまで取ってしまうことになりかねない。地産地消の食材や名物料理ではない、どこにでもあるような揚げ物や煮物などは優先的に食べる必要はないのだ。真に食べたいものを見極めよう。
3.サラダは忘れずに適量を
ダイエットの基本だが、サラダなど野菜を先に食べることで血糖値の急激な上昇を抑えられる。どこのホテルでもサラダバーがあるので、まずはひと盛りのサラダは必須だろう。ドレッシングは油分控えめのポン酢系がお勧めだが、美味しく食べることが重要なので少量ならば細かい事はこだわらなくてよい。またいくらサラダがヘルシーでダイエット効果があるとはいえ、サラダばかり大量に食べてしまいお腹が膨れてメインを十分に楽しめないのは本末転倒だ。本来の目的を忘れず、サラダは適量で良い。
4.取りすぎない、糖類は後回し
サラダの後は列に並んで食べたいものを順によそっていく。ここで注意が必要なことは、
・全メニューを制覇しようとせず、トキメかなければ手を付けない
・好きなメニューでも一度に取りすぎない
この2点だ。オリエンテーリングでもスタンプラリーでもないのだから、全メニューをコンプリートすることには全く意味はない。また最初に一つのメニューを取り過ぎると過食に繋がるし、他に優先順位の高いメニューを十分に楽しめない。空腹が一番の調味料なのだ。一巡目はある程度お腹が空いた状態をキープしておきたい。そのため取り分ける皿は仕切りのついたプレートが望ましい。他の料理と味が混ざりにくいし、小分けされているので一度によそえる量が自然と制限される。
また基本的に、並んでいる順番ではなく食べたい料理から取ればよいのだが、ご飯や麺類など、糖類は後回しにして肉・魚などのタンパク質を優先したい。サラダの次に食べればやはり血糖値の急上昇を防ぐ効果があるし、さっぱりした口にはがっつりとした肉・魚の味がよく合う。
5.食べながらお箸をおく
ようやく食事の始まりだ。ビュッフェには時間制限があるとはいえ、通常の食事にかける時間と比較すれば競うように急いで食べる必要はないし、終了時間の間際でもなければ料理が尽きることも稀だ。家族や友人との会話や取り分けた料理をじっくり楽しもう。
この時一つだけ気をつけたいのが箸を持ったままでいない事だ。一つの料理を食べる都度に箸をおいて、時間をかけて味わいながら食べたほうが良い。箸を持ったままではついつい急いで食べてしまうし、口の中で料理同士が混ざってしまって一品一品を味わうことができない。また満腹感は遅れてやってくるので、一気に食べて後からお腹が苦しくなったり胸焼け、胃もたれになることを防ぐことも出来る。
6.物足りなければ2週目へ
せっかくのビュッフェなのだから、一皿食べ終わって物足りなければ新しいお皿をとって他のメニューを楽しもう。1巡目で気に入った料理があればもう一度食べても良いし、お腹の具合と相談しつつ、悔いが残らないように計画を立て直す。ある程度満足していればデザートや〆のご飯類、麺類を食べても良い。
ただ何度も言うが「食べないと損だ」と思って無理をしてはいけない。2週目は1週目より少量になるようするか、再びサラダを食べて胃を落ち着かせてみよう。何事も少し足りない程度がちょうど良いのだ。人間には別腹など存在せず、食べた分をエネルギーとして使い切らなければ確実に蓄えられる。一度蓄えてしまうと蓄えを消費するのには時間がかかるので、過食に繋がる可能性のある2巡目は特に注意が必要だ。
7.もったいない、という思いは捨てる
終盤になって、料理が残っていたり食べ損ねがあったとしても、ここで変にSDGsを意識して食料の廃棄削減に貢献しよう、などと思わない事だ。一人の人間が数グラム多く食べたところでSDGsの効果は微々たるものだし、我々も持続可能な社会の一部なのだから、過食によって健康を害することはSDGsの考え方に反する。食べきれない食料の処分や再利用はホテルや廃棄業者にまかせ、食事を楽しむことを最大限に意識すればよい。とはいえ自分がとる料理の量くらいは最低限コントロールしたい。食べられる分を少しずつとる事が肝要だ。
忘年会・新年会でも自己をマネジメント
ビュッフェ形式の食事だけでなく、年末年始の飲み会でも同様に計画とマネジメントを活用すれば過食の防止に繋がる。お酒も最初から一気の飲むのではなく、ゆっくりと味わいながら食事と共に楽しもう。「食べる」「飲む」「話をする」に一つずつ区切りをつけて、また大皿を空にすることを重要視しないこと。自分の中で真に食べたいものを食べ、それ以外は無理には食べないことが心身の健康と満足度の向上に繋がる。
コロナ明けで飲み会も増えている。旅行も飲み会も、料理や会話を楽しむ時間を過ごすことが第一の目的ではあるが、心の隅に小さい管理者を立てて自己をマネジメントしながら、後から後悔することがないように満足のいく年末年始を過ごしたいと思う。