投資のススメ

お金をマネジメント
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コロナが5類に移行し、様々な行動制限が緩和・撤廃されたことで、飲食店やテーマパーク、その他多くのお店がコロナ前の賑わいを取り戻している。主要都市や観光地ではすでに外国人観光客で溢れかえっており、アウトバウンドが牽引して各企業の業績も大幅に回復した。それにより、4月以降の日経平均は5,000円以上も上昇し、また24年度の新NISA開始によって売却益・配当金の非課税額が拡大・拡充するなど、投資熱も高まっている。

また、年金に対する不安や企業側で退職金を確保することの負担もあって、各企業が社員が自ら定年後の資金・資産を確保するよう、iDeCo(個人型確定拠出年金)に切り替え始めている。

楽天やPayPayなどは、貯まったポイントを投資信託の購入に充てることが出来る。手続きも簡単なので、実質ノーリスクで投資を始めることもできる。特に若年層では、ポイント投資から投資の世界に足を踏み入れる人も多いと聞く。

株式や投資信託の購入を副業と位置づけ、会社からの給料以外の収入源を確保することを推奨するブログも多い。投資熱の高まりにつられて、今年から株式・投資信託の購入を始めた人も多いのではないか。

だが、投資にはリスクがあるし、確実にもうかるなんて保証はない。働いた分だけもらえる給料や、預けておけば僅かでも利子が付く預金、元本保証の個人年金とは全く異なる。この点を正しく理解し、正しい投資をしなければ資産を増やすどころか将来の蓄えまで切り崩す、なんて悲劇も起こり得る。

株を理解する

株を買ったらなぜ儲かるのか、株を始める前にまずこの点を理解しておいたほうが良い。

株式会社のルーツは15世紀のヨーロッパ、大航海時代に遡る。当時は新大陸の発見や外国との貿易が盛んに行われており、航海によって持ち帰られた香辛料などが大きな利益をもたらしていた。だが今より航海技術が発達しておらず、航海には莫大な資金がかかるし非常に危険で失敗も多かった。そこで探検家たちは、航海のための資金を集めるために出資者を募って少額ずつ出資してもらい、航海が成功すれば利益を出資者に分配することにした。この出資者が今でいう「株主」となる。

株式会社は、会社の運営や新しい事業に必要な資金を集めるために株を発行する。株は会社が形を変えたもので、株を購入すること=会社の一部を購入することだ。そのため多くの株を持っていれば、会社の経営・運営に対する発言権を持つことになる。そして会社は、出資者である株主に対して、利益を還元する。これが配当であり、また株主優待となる。

株式を公開していない(証券取引所に上場していない)会社であれば、株はただの資金集めの手段に過ぎない。投資家にとっての利益は主に配当金なので、そこにギャンブル性はない。だが株は証券取引所を通じて投資家同士で売買できる。

初めに会社が販売した株を投資家が1株1万円で購入するとき、会社は株主から1万円出資を受けたことになる。そしてそのあと別の投資家にその株をいくらで売っても、会社に直接の損得はない。だが2万円でその株を欲しいと思う投資家がいたら、最初の投資家は差額1万円の利益となる。株の値段は発行する会社の業績と連動して上下するのではない。業績が上がれば投資家への謝礼、利益分配として配当金が増える。すると株を持つ魅力も増えるため、2万円出しても欲しい、と思う投資家がでてくるかもしれない。この時初めて株に2万円という値が付くのだ。同様に、株を現金に替えたくても、誰もその額で買いたいと思わなければ買値を下回ることもある。2万円で買った株が1万円でしか売れなければ、いくら配当金が貰えても損をしてしまう。

利益の出ない会社に投資すると、最初は配当金すら出ない。投資家から人気がないので株価も低い。売りたくても買い手がいない、ということもある。だが将来性があり、成長性が見込まれるのなら、安いうちに多くの株を購入しておくことでいずれ多くの配当金が貰える可能性がある。そして人気が出れば、購入した額の数倍で株を売却することもできる。何かの理由で一時的に株価が暴落したタイミングでその株を購入すれば、値が戻ったときに売る事でも大きな利益を得ることもある。これが一攫千金を得られる仕組みだ。

もし「新商品を販売する」「他社と合併する」といった企業価値があがるような情報を事前に知ることが、人気が出る前に株を大量購入して株価が上がった後に売却して大儲けが出来る。しかしこれはインサイダー取引といって違法行為になる。内部情報を知った上で株を購入することは法律で禁止されている。そのため、一攫千金を狙うのならば、公表されたニュースや、市場の動向など様々な情報を集めて、適切な判断ができなければいけない。噂や勘に流されて株を買うのはただのギャンブルであり、投機だ。株価が上昇し、1万円が2万円になったとしても、そのあとも上昇する保証などない。株は人気投票に近く、株価が真に企業価値を反映しているとは限らないのだ。

買い手の向こうには売り手がいる。売買で儲ける人がいるということは、必ず損をしている人がいる。株を始める前には、この事実を正しく理解しなければならない。

株を始める

投資を理解するには、実際に株を買ってみると良い。証券会社に口座を開設し、上限額を決めて入金する。私の投資生活は、15年以上前にマネックス証券に10万円を預け入れることから始めた。今はポイントで投資信託を買えたり、いろいろとポイントが貰える、という理由で楽天証券とSBI証券に分けて運用している。

始めた当初は株が良く分かっていなかったので、手始めにいくつか基本的な本を購入した。前述したような、株に対する基本的な知識や、良い投資先を見つけるための先人の知恵など、巷には株や投資関連の本が溢れかえっている。株に対しては決して少なくないお金を払うのだから、少しでもリスクを下げるためには正しい知識が必要だ。ホームページやブログでかじった知識で、誰でも儲かる、といった言葉に乗せられてしまわないよう、注意してほしい。また、チャート(株価の推移)をもとにした必勝法を扱う本はおススメしない。ほとんどが結果の後付けに過ぎず、リスクを下げるには株の仕組みや投資先の会社を知ることが一番確実なのだ。

そして、マネーゲームに参加をするのではなく、会社に投資をする、という自覚を持つことも大事だ。最初は日々利用するスーパーや飲食店、趣味に関連する会社など、その業種や会社について理解できている、身近な株を少額買うのが良い。間違ってもうわさやニュースに流されてはいけない。投資額を増やしたり、投資先を広げるのは株の値動きに慣れてからでも遅くはない。

自分を理解する

証券会社やブログなどの「今がチャンス」といった言葉に乗せられて、いきなり大きな額で投資を始めることもお勧めしない。株で利益を出すには、タイミング以上に自分を理解することが大事だ。

平時には冷静でいられても、購入した会社の株価が乱降下したときに自分がどういった行動をとるかは、経験してみないと分からない。企業価値以上に上昇を続ける株に対して「まだ間に合う」「倍以上になる」といった無責任なコメントを目にしたとき、一攫千金を夢見て多額の投資をしてしまい、そのあと株価が急落して売るに売れなくなる、といったことが往々に起こる。私も何度も経験した。後で冷静になって振り返れば分かる事なのに、その時は「チャンスを逃すのが惜しい」という思い込みと正常性バイアスが掛かってしまうのだ。そういった素人株主が高値で株を購入するとき、事前に企業を分析し企業価値を把握できている投資家が儲けていることを忘れてはいけない。

こういった注意喚起は、様々な本やブログにも書かれている。株を始めようとすれば、何度も目にする言葉だ。だがいざ自分がその場に直面すると、冷静でいられるとは限らない。投資ではあるが、勝ち負けやゲーム性があるのが株式売買なのだ。人は誰でも勝負には勝ちたいし、自分には才能があると思いたい。そして宝くじのような一攫千金を夢見てしまう。だからこそ、まずは少額で初めて失敗と成功を繰り返し、経験値を積むことが必要なのだ。

長く株をやっていると分かるが、チャンスはいくらでもある。最低でも1年は少額投資で経験を積み、株の仕組みと自分を理解すれば、そのあと成功する確率はグッと高くなる。

投資信託の積み立てが最強

一通り株のことを理解すると「投資信託の積み立て」が最善であることが分かる。毎月決まった額を自動で購入するので、値段の上下にともなう動揺や高揚に惑わされることがない。値段が低ければ多くの株が買えるので、一時的に高値掴みしたとしても影響は最低限だし、様々な国々の会社に分散して投資する商品であれば、分散投資になってリスクも下がる。一攫千金は得られないが、NISA枠を使えば利益が非課税になるので、10年後の蓄えのためには最良の選択肢の一つだ。

それに加えて、資金に余裕があれば株主優待に魅力のある企業を1~2社買っておくと、継続して株への理解を深められるとともに、ちょっとしたご褒美が得られて楽しく投資もできる。

ギャンブルではなく確実な資産形成のために、正しいステップを踏んで株を始めてみてはどうだろう。

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