パソコンのファイルを整理していたら「最近考えていること」というタイトルのメモを見つけた。更新日は2018年11月、もう4年以上前になるが、当時の私の悩みが綴られていた。
最近考えていること(2018年11月)
□□(以下”私”)から〇〇(以下”嫁”)へ。
怒ったりしないで、冷静に最後まで聞いてください。
<”私”の基本的な考え方>
・家事/育児の負担が”嫁”に偏るので、少しでも負担を軽減したい。
・”嫁”のストレスを軽減したい。
・家族みんな、笑顔でいてほしい(笑顔でいたい)
<現状やっていること>
・少なくとも週2回は早帰りして、家事(晩御飯の準備)/育児(送り迎え)を分担する
・土日も家事/育児にかかわる
・その他、たまにトイレ/洗面所の掃除/2Fの掃除機かけ/洗濯物をたたむ/食器を洗う
<課題>
・”嫁”の期待値より低い場合、”嫁”の負担が増える
(例)
”嫁”の洗濯物をたたんでしまうと、”嫁”が自分の服がどこにあるかわからなくて困る
→”嫁”の洗濯物はたたまないことにしている
晩御飯が”嫁”の口に合わないと残す(食べてもらえない)
習い事のフィードバックが不足、”嫁”が宿題のやり方がわからなくて困る
買ってきたものが”嫁”が欲しかったものと違う
食器がきちんと洗えてない
料理した後のキッチンが汚い(片づけが不十分)
<思い>
・期待値より低いから「やめる」のは、負担の偏り軽減につながらないので最終手段
でも、なにをしても”嫁”の負担軽減につながってなく、責められるので辛い
・気を利かしてやろうと思っても「余計なこと」と思われないかが気になる
(どうせ怒られるからやめとこうか、という気になることもたまにある)
・「やらない」ことで逆に「気が利かない」と思われることもあるので難しい
・”嫁”がたびたび「いやがらせなの?」と叫ぶけど、実はとても傷ついている。
良かれと思ってやったことなので、たとえ満足いく結果でなかったとしても
「いやがらせ」と思われるととても辛い
<原因>
・コミュニケーションが不足してきている
<対策>
・日々いそがしくてすれ違いも多いので、月1回程度、子供も一緒に家族会議を開催して、
困っていること、お願いしたいこと、次月の予定、目標を共有してはどうでしょう。
当時を振り返る
当時は嫁の仕事が忙しく、また職場での人間関係も問題があり、精神的に辛そうにしていたことは覚えている。一時的にメンタル面に支障をきたして精神科に通院していたこともあった。終始イライラしていて私と口論になることも多かった。家庭内がギスギスしていて雰囲気が悪く、なんとかしたいと悩んで書いたのがこのメモだ。今思えば、ほとんどが仕事からくるストレスが根本原因だったのだろう。
私と話をするのも面倒くさそうで、私も話しかけるのがためらわれたため、お互いのコミュニケーションが不足していた。口頭で伝えるよりも、タイミングを見てLINEで連絡することが多かった。嫁から私への連絡はそれ以上に少なかったため、子供のイベントごとの情報が私に伝わらない、ということもあった。そのため、家庭内で情報共有の場を作って情報交換をすればよいのでは、と考えたのだ。
実際、家族会議を開催することはなかった。嫁が異動して職場環境が変わったこともあるが、それよりもコロナ禍で私と嫁が在宅勤務が増えたために、自然とコミュニケーションが増えたのだ。
コミュニケーション不足を解消する方法
なにも、家族会議を開催する必要はなかった。ほとんど毎日、家族そろって食事をし、テレビを見て一緒に過ごしているのだ。情報交換をするための場はもとからあった。ただ、何回か嫁と口論をしたことで、何気ない会話をすることをためらう自分がいた。話しかけてめんどくさそうな顔をされると、プレッシャーを感じて口ごもってしまい、それが更に嫁のストレスを増加させ、私も話しにくくなるという悪循環があった。
ただ、おそらく嫁も私に対して話しかけにくさを感じていたのだろう。そのころ、私は会社での出来事を嫁に話すことはほとんどなかった。職場の人間関係や仕事内容を一から説明するのは時間がかかるし、嫁も興味はないだろうと思っていた。そのため、食事中でも私から家族に話をすることは少なく、子供たちに学校での出来事を質問するくらいで、それ以外は黙って食事をしながらテレビを見ていた。嫁の立場になってみれば、黙々と食事をする私の方こそ「イライラして怒っている」と映っていたかもしれない。
そこで、積極的に家族に対して情報発信をすることにした。まずは嫁へのLINEでのみの事務連絡をやめた。LINEで連絡した後、帰宅後にその内容について会話するようにした。また仕事や会社での出来事について、伝えられる範囲で嫁や子供にも話した。これは、子供たちにとってはシステムエンジニアとは何で、私がどんな仕事をしてお金を稼いでいるかを知ってほしかった、という意図もある。嫁が私に仕事での愚痴を言うときは、私も会社での出来事や仕事で困っていることを伝えた。一度にすべてが伝わらなくても、少しずつ会社の体制や仕事内容を知ってもらえれば十分だ。なにより、私にも悩みがありそれを嫁と共有する、という状況が大事なのだ。
さらに、自分ひとりで決めることもやめた。以前は家族で旅行に行くときは、大まかな目的地などを家族で合意した後、ほとんど一人で詳細な旅行計画を立てていた。そのため家族は私についてくるだけで、言われるがまま電車を乗り換え、次は?と私に質問してくる。その結果、自分たちが何県に旅行に行ったのか、ということも覚えていない。ただ目的地やホテルで過ごしたことだけが、旅行の記憶だった。それをここ最近は家族皆で予定を考えるようにした。目的地のガイドブックを購入し、やりたい事、食べたいもの、買いたいものを皆で考える。そして決まった予定に従い、ホテルや電車を私が手配した。旅行に対する満足度が高まり、また自然とコミュニケーションが増えた。
独りよがりだった自分を省みる
家庭内のギスギス感に疲弊していた私は、客観的かつ冷静な目で状況を理解することができなかった。家族の問題を解決するのに、一人で考えて解決策を決めようとしていた。もしこのメモの内容を嫁に話していたら、それこそ「自分勝手で、嫁のことが分かっていない」と反感を買ったことだろう。もちろん、嫁が実際にどう感じていたのか、を共有することは必要だった。ただそれも「家族会議」のような形式ばったものにする必要はなかった。日常のちょっとしたコミュニケーションの積み重ねによって、十分に改善するものだった。
相手が自分をどう思っているか、本当のところは聞かないと分からない。それと同じく、自分が相手をどう思っているかも、伝えなければ伝わらない。それを怠って思い込みで判断すれば、お互いの理解が不足して関係が悪くなる。家庭だけでなく仕事においても重要な真理について、自省録として書き留めておく。