年度末は、面談の時期
まもなく年度末、多くの会社員が年初に立てた目標に対する成果報告をする時期でもある。私の会社では、2月半ばから3月にかけて上司面談がある。私はグループ会社に出向しているが、現場に自社の上席がいないので、面談相手は人事部の担当部長だ。
会社が実施したアンケートでは、多くの出向者が「出向先での成果がちゃんと評価されていない」という不満を持っていた。年初目標に対する成果報告をわずか30分間の面談で説明し、その内容だけで来年度の給与・賞与が決めるのであれば、文字に現れない成果を加味することは難しい。文章力や説明の仕方によっても個人差は出るだろうが、結果的に平準化されたそこそこの評価に落ち着いてしまうかもしれない。これだけ頑張ったのに昇給されない、賞与が少ない、という不満が積もれば転職に至ることもあるだろう。
そういった現場の不満をうけて、今年度からは出向者との面談とは別に、人事部長から出向先の現場上司へのヒアリングの場が設けられた。こちらもわずか30分足らずではあるが、出向先で十分な評価を得ている出向者、特に若手にとっては正当な評価に繋がる良い試みだ。ただ、現場上司との折り合いの良し悪しによって評価が下がる可能性があり、諸刃の剣だ。
面談で分かったこと
私は早々に今年度の成果報告面談を終えた。まず現場上司に、出向元に提出する成果報告を説明し、内容に嘘や誇張がないかを確認してもらった。人事部長から現場上司へのヒアリングのあと私と人事部長との面談が予定されていたので、私からの報告と現場上司からのヒアリング結果に差異があると印象が悪い。また、あらためて現場上司に私の一年間の成果をインプットしておくことで、人事部長に良い印象を与えることになる。
こういった準備は成果に対して正しい評価を得るために必要なプロセスで、些細な労力を惜しんでいては実を得ることはできない。正直、出向者が自分の評価に不満を持つ原因の一つは、自ら評価を正しくアピールすることが出来ていない面もあると思う。自社内ですら、上司が部下の細かい成果を一つ一つ覚えて評価してはくれない。上司も忙しいし、評価しなければいけない部下は一人だけではない。出向者であればなおさら、より積極的にアピールしていくことが求められる。
ただ、現場上司は実際は私を評価する立場にはないし、出向者を育成する責任もない。そのため年度末の面談は事務的に成果報告を行い、形式的に労をねぎらってもらう場となっていた。改善点や課題のフィードバックもほとんどなく、私はこの点に関しては物足りなさを感じていた。すべての仕事を完璧にやり遂げることはできないし、至らない点があればそれは成長の余地なのだ。足りない部分をどう埋めるかが次の仕事へのモチベージョンにもなるのに、その材料を得ることが出来ない。
幸いにもこの点に関しては、今年の面談で大きく改善した。人事部長が現場上司に対して「あえて出向者に課題があるとしたら」というテーマでヒアリングした結果を、出向者との面談でフィードバックしれくれたのだ。
現場上司が思う私の課題は「出向者としての遠慮」だった。
確かに何かを決めるときに「出向者が決めて良いものか」と思うことは多々ある。出向先で役職についているわけではなく、判断し行動した結果に責任が取れないので、自分で決めきれないことも多い。しかし私のそのような行動は、現場上司からすると物足りなく感じていたらしい。
そして先日の「マネジメント研修」のフィードバックに記載されていた内容も腑に落ちた。
周りの意見を広く集め、情報を的確に分析する力はあるが、それゆえ判断するのに時間を要し、そして長期的な計画策定・大局的な判断力にも課題がある
自分のために、面談をしよう
今回の面談で気付いた私の課題は以下の通り。
出向者であるがゆえに常に周りの顔色を窺い、自ら最終的に判断するのをためらう。また組織運営に対する中長期的ビジョンがなく、担当案件の範囲で完結している。
ポイントは判断力そのものではなく、組織に対するビジョンや責任感の欠如だ。出向者でなければどうしていただろう。もっとグループ全体を良くしようと動いていたのではないか。コロナ禍でリモートワークの増加や飲み会の減少もあって、グループメンバ間の繋がりはとても弱くなっている。特にグループ内で7割を占める出向者と、プロパー社員との関係がギクシャクしている。皆、仕事上のつながりしかなく、お互いを助け合う・良くし合うといった行動に至っていない。
おそらく上司もこの点を気にはしているものの、出向者を評価・育成する立場ではないため、思うような手を打てていない。逆に上司も出向者に対して遠慮があるのだろう。そういう状況なので、私が出向者とプロパー、特に上司との潤滑油として動くことが出来れば、組織力やエンゲージメントの向上につながるはずだ。
ということで、出向者それぞれと面談をしてみようと思う。前の出向先では頻繁にやっていたが、出向先が変わってからは必要性を感じなかった。確かに「遠慮」と「責任感の欠如」があったことは否めない。
面談というよりはインタビューに近い形式がよい。各メンバの出向元はバラバラなので、私は彼らを評価する立場にはない。またただの1チームリーダーであり、権限もあまりない。だからこそ、同じ目線で話ができる。話題は仕事に対する思い成果・評価だけではない。他メンバー、上司に対する不平不満を聞くだけでも意味がある。コロナも落ち着いてきたので対面の方がよさそうだ。
相手のことを理解するのとあわせて、自分のことも理解してもらう良い機会だ。うまくいけば組織力の向上にもつながるし、私のマネジメント力を磨くこともできる。来年度の目標設定にも使えるし、出向元・出向先へのアピールもできる。これは組織やメンバのためでもありるが、自己研鑽でもある。
簡単なアクションプランを作って、上司の了承を得るところから始めよう。