足りないものを見つける

ビジネススキルをマネジメント
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マネジメント研修(基礎)

会社から2か月前に受講したマネジメント研修のフィードバックレポートが届いた。その研修はオンライン形式で、「グループでの企画提案演習」「講師との面談演習」「個人でのインバスケット演習」の3つで構成され、提出物や研修での振る舞い、パフォーマンスをもとに講師からフィードバックをしてもらえる。ちなみにインバスケット演習とは、設定人物になりきって業務上起こり得る案件を制限時間内にできる限り多く処理する、というものだ。

レポートによれば、私の強みは「バイタリティ・分析力」であり、弱みや課題は「計画性・判断力」らしい。「周りの意見を広く集め、情報を的確に分析する力はあるが、それゆえ判断するのに時間を要し、そして長期的な計画策定・大局的な判断力にも課題がある」ということだ。たしかにインバスケット研修では、限られた情報量をもとに1時間で重要度・緊急性のさまざまな20もの案件を処理する、という慣れない作業に手間取り、すべての案件を処理しきることが出来なかった。情報に限りがあるからこそ、瞬時に「今決める」「後で決める」「別の人に任せる」に分類して処理すべきだったのだが、設定人物を取り巻く環境を加味して判断するのに時間を要してしまった。

しかし普段の業務でも日々似たような判断をしていて、判断結果・スピードともに申し分ない、と自分では思っていた。3年以上今の仕事を担当しているから、手続きや他部署のキーマンはある程度見えていて「今決める」「後で決める」「別の人に任せる」はほぼ瞬時にできている。実際、上席やプロジェクト関係者からの評価も悪くはない。ただし研修の中で十分な成果を残せなかったことも事実だ。これは「たまたま調子が悪かった」ということだろうか。レポートを見た時は少しイラっとしたのだが、改めて冷静に分析してみると一つ気づいたことがあった。

研修と業務との違いは、情報の理解度だろう。

自分に足りないものはなにか

業務においては、瞬時に判断するための十分な情報がすでにインプットされている。自分以外の「上司」「他部署」「ユーザ」「ベンダ」といったステークホルダーの役割、案件を進めるための手続き、予算確保のための段取りなど、3年かけて学び理解してきた。着任当初は自らすぐに判断することが出来ず、「周りに聞く」か「とりあえず保留する」ことばかりだったが、今はこういった判断に迷う・判断を誤ることがほとんどなくなった。

研修でも、自分を取り巻く体制、各キーマン側の事情や主な役割、といった情報は与えられていた。しかしわずか1時間でそれらを理解し、足りない情報を類推して情報を正しく整理することができなかった。それゆえ雑多な各案件に対して「自分で決めるべきこと・判断」に時間を要してしまい、全案件を処理できなかったのだ。

仕事においては、誰しもが自分に与えられた役割の元で責任をもって判断することが求められる。判断するための情報がすべてそろっていれば、結論を導くのはたやすいことだ。しかし役職が上がり責任が増すほどに、限られた情報でより重要な判断を下さなければいけない状況が増えてくる。そこでは情報の処理能力と経験則をもとにした適切な判断力が求められる。情報が足りなければ「調べる」「確認する」という判断もできるが、それは判断の先送りにもつながる。目の前の情報をフルに活用して責任を持って適切に判断する必要がある。

今の私には、このスキルが不足している、ということかもいれない。足りないスキルを獲得するには、どういった取り組みが必要なのだろうか。今回の研修では、フィードバックレポートと合わせてフィードバック面談も用意されているので、そこで改めて講師に確認・相談してみよう。

何から何を学べるかはわからない

マネジメントの基礎が学べる、という内容だったので正直舐めていたのだが、思いのほか良い気付きが得られた。プロジェクトや10名規模のチーム、能力・モチベーション様々な部下の育成など、一通りのマネジメントを経験してきたので、正直言えばいまさら「基礎」を学ぶ必要性は感じていなかった。役職者の役割・責任についても十二分に理解している。そう思っていたが、今の自分に足りていないものを見つけることが出来た、とても有意義な研修だった。

給与ランクアップのためにこの研修の受講が必要で、研修の成果によってランクアップ是非が判断される可能性がある、ということを受講後に知った。研修の評価がランクアップの基準に達していなければ昇給されなかもしれない。そこは正直痛いし悔しいのだが、足りていないということは今の状況でも成長の余地があるということ。私はまだ成長できるのだ。そのために日々の業務においてできることを考え、計画を立てて実践していこう。似たような毎日を繰り返しているけれど、出来なかったことができるようになる、自分の成長はモチベーションの向上にもつながる。それはとても楽しいことだ。

長い社会人生活は、まだ折り返し地点に過ぎない。そのあとさらに10年、20年と人生は続いてく。惰性で日々を過ごすのではなく、足りないものを認識し、学び成長することに終わりはない。数十年後に振り返ってみて、今回の研修がいろいろな意味でのターニングポイントになるかもしれない。

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